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日本補綴歯科学会第133回学術大会 開催される
 7月5日(金)~7日(日),幕張メッセ 国際会議場(千葉市美浜区)にて標記大会が『補綴の未来、歯科の未来。「不易流行(変わらないもの、変えていくもの)」』をテーマに開催された(大会長:河相安彦氏・日大松戸)(共催学術大会:The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics.Congress Chair:窪木拓男氏・岡山大)〔オンデマンド配信期間:2024年7月8日(月)~21日(日)〕.
 シンポジウム1「口腔機能と栄養摂取からみた補綴歯科治療の意義」(座長:池邉一典氏・阪大,上田貴之氏・東歯大)では,佐々木 敏氏(東大・医 名誉教授)が「口腔機能と食品・栄養摂取:栄養疫学からの知見」と題し,栄養疫学研究の諸知見を紹介するとともに,歯科学と栄養学の連携をエビデンスベースで,同じ研究の質をもって行うことが重要とした.
 平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター)は「高齢期口腔機能と栄養:オーラルフレイルを中心に」と題し,“口腔機能管理”を取り巻く環境の変化に触れた後,食品摂取多様性とオーラルフレイルとの関連性やオーラルフレイル予防が健康長寿延伸に寄与する可能性について述べた.
 
 臨床リレーセッション3「インフォームドコンセントに活用できる臨床エビデンス」(座長:松浦尚志氏・福歯大,荻野洋一郎氏・九大)では,峯 篤史氏(阪大)が「補綴歯科治療において必要とされるファクター:エビデンスと同意と教育と題し,若手歯科医師や学部学生に対するPBL(Problem-Based Learning)の実際を述べた.
 次に松田謙一氏(関西支部)が「歯根と顎堤を保存する重要性とは?」と題し,残根上義歯(オーバーデンチャー)のメリット・デメリットを文献的に考察,さらに義歯治療における欠損部の顎堤状態を検査する意義についても同学会ガイドラインをもとに検討した.
 森本太一朗氏(九州支部)は「予知性の高いインプラントに必要な条件とは」と題し,適切なインプラント-天然歯/インプラント間距離や同治療において歯冠乳頭が退縮しやすい理由,歯肉フェノタイプの評価についてエビデンスを通じて詳説した.
 臨床リレーセッション4「フィニッシュラインからみる歯冠修復」(座長:佐藤洋平氏・西関東支部/鶴見大,野本俊太郎氏・東歯大)では,河阪幸宏氏(東北大)が「直接修復における歯肉縁上フィニッシュライン」と題し,コンポジットレジン審美修復におけるマージン処理法として,エナメル接着の強化と適切なマージン設定の観点から解説した.
 新谷明一氏(日歯大)は「間接修復における歯肉縁上フィニッシュライン」と題し,日米・北欧の教科書と成書から歯肉縁上フィニッシュラインの定義を確認し臨床的なメリット・デメリットを整理するとともに,オクルーザルベニアによる対応法についても紹介した.
 木林博之氏(関西支部)は「間接修復における歯肉縁下フィニッシュライン」と題し,歯肉縁下フィニッシュラインの適応症,補綴装置の適切な歯肉縁下形態,臨床における歯肉縁下フィニッシュラインの設定法等について臨床例から考察した.
 特別講演「人生の終い方~最終ステージの伴走者としての在り方~」(座長:古屋純一氏・昭和大)では,佐々木 淳氏(医療法人社団悠翔会)が在宅療養支援診療所で在宅医療に従事する立場から,在宅高齢者にとっての自分らしい生き方を最後まで支えるために医療従事者に求められることを紹介.在宅高齢者の緊急入院の原因となる脆弱性疾患は食事量の低下から始まるフレイルサイクルの一環であり,食事量低下の予防や退院直後の口腔ケア・嚥下機能評価等を通じて歯科医療従事者が健康寿命延伸に寄与する役割は大きいことを強調した.
 また,メインシンポジウム(日本栄養治療学会 合同シンポジウム 補綴歯科治療と栄養治療の新たな連携戦略)に先立ち日本補綴歯科学会と日本栄養治療学会の連携調印式が行われ,サルコペニア・フレイル対策の一翼を担うべく,学会間で連携して学術的課題の解決を目指すことが確認された.

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