2024/06/10
6月8日(土),9日(日)の2日間,標記大会が東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて,「踏襲から発展」をテーマに開催された(大会長:貞光謙一郎氏・奈良県).
開会挨拶では,貞光氏が,先人達から引き継いだナソロジーのコンセプトが現代の一般臨床家にとって指針となっていることを強調したうえで,踏襲した理論をもとに実践された臨床例を共有し発展していくことへの期待を述べた.
特別講演「Full arch: Integrating function and esthetics with contemporary digital workflows」で登壇したProf. Dr. Wael Att(フライブルク大)は,フルアーチリハビリテーションにおけるデジタルワークフローの構成要素を紹介し,そのメリットとデメリットを検討したうえで,機能の最適化と予測可能な結果を獲得するための方法について解説した.
特別講演を行うProf. Dr. Wael Att
依頼講演「咬合再構成を極める―咬合崩壊症例における顎位決定の臨床的考察―」で登壇した上田秀朗氏(福岡県)は,自身が経験した咬合崩壊症例について,顎位決定における臨床的な取り組みを供覧した.
依頼講演「長期経過症例よりナソロジカルコンセプトを考察する」で登壇した伊藤雄策氏(大阪府)は,ナソロジーという学問の歴史的経過を振り返ったうえで,長期経過症例を紹介しながら考察を行った.
依頼講演「咬合再構成における力学的原則」で登壇した山﨑長郎氏(東京都)は,これまでの研究の蓄積をもとに咬合再構成における治療順序を検討して解説した.
依頼講演「マルチディスプレナリーアプローチに有効な矯正診断」で登壇した松崎浩成氏(茨城県)は,Facial typeやAngle classなどの骨格的特徴をとらえた診査診断が矯正治療にとって必要であることを症例を通して伝え,その活用法を解説した.
依頼講演「矯正と咬合―一般臨床において矯正治療のゴールをどう捉えるか?―」で登壇した渡辺隆史氏(福島県)は,矯正治療のもつ「低侵襲治療」の側面を強調し,どのようなゴール設定を行って治療に取り組むべきかという視点で症例紹介を行った.
依頼講演「一般臨床家が挑む難症例への対応」で登壇した倉富 覚、氏(福岡県)は,実際の症例を紹介しながら,感染根管処置における難症例においてどのような視点で治療コンセプトを設定すべきかを考察した.
依頼講演「非外科的歯周治療とメインテナンス 裏付けるエビデンスはどれだけあるのか?」で登壇した関野 愉氏(日歯大)は,インスツルメンテーションや口腔衛生習慣の指導,禁煙指導といった非外科的歯周治療やメインテナンスについて,文献的な考察とその解釈・応用について解説した.
依頼講演「長期経過観察からみなおす歯周病の治し方」で登壇した牧野 明氏(富山県)は,力の要素がなくプラークだけが原因と考えられる歯周炎症例,力の要素が認められるがアタッチメントロスを起こしていない症例,プラークと力の要素が共存する症例を供覧し,それぞれの長期経過から重度歯周炎症例への対応方法を考察した.
依頼講演「患者さんのひととなり・生活背景を知り活かす~デンタルスタッフの役割」で登壇した椎木あや子氏(富山県)は,患者の人となりを理解したことで歯周治療を継続できた症例を,歯科医院全体の治療への取り組み方,歯科衛生士の技術の習得方法,情報共有の重要性などを交えながら講演した.
依頼講演「長期症例から学ぶ事,伝えたい事―エビデンスとナラティブをたいせつに―」で登壇した安生朝子氏(栃木県)は,高齢患者を支えるために歯科医療ができることを,自身の経験や取り組みを軸に解説した.