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日本歯科放射線学会 第64回学術大会開催される
2024年5月24日(金)~26日(日)の3日間,日本歯科放射線学会第64回学術大会がホテルイタリア軒(新潟市)で開催された(大会長:林孝文氏・新潟大).新潟での総会・学術大会の開催は18年ぶり.
 開会挨拶と一般口演に続いて開催された教育講演 1では,古川まどか氏(神奈川県立がんセンター)が「確実なICで患者を支える頭頸部癌診療 ―頸部エコーの徹底活用―」と題して,同分野のフロントランナーとしてのこれまでの歩みを振り返りながら,今後の課題を展望.根治性追求のため,拡大郭清術が常識であった頸部リンパ節に頸部エコーを活用する事で,手術侵襲の最小化と高い再発阻止率の両立を実現させてきた数々の試行錯誤が話され,古川氏の「患者さんを救いたい,高いQOLを維持してあげたい」という想いが聴衆に伝わる熱い講演となった.

 特別講演では,日本を代表するユニコーン企業である,Idein株式会社の代表取締役/CEOの中村晃一氏が登壇.世界を変えつある人工知能の現状について,最前線に身を置く立場から「AI及びAI半導体の最新の動向と今後の見通し」と題して,ソフト・ハードの両面から解説.医学,歯学のような専門領域といえども今後はAIの浸透は避けられない以上,現状維持を図るのではなく,ルールメイキングの側に回る事が必要と指摘.歯科放射線学分野はAIとの親和性が高く,一般口演でもAI関連が多数発表されている事もあり,聴衆は熱心に聞き入っていた.
中村 晃一氏(idein㈱と林大会長
 午後からは恒例の花村信之メモリアルレクチャーに角美佐氏(長崎大)と田中良一氏(岩手医大)が登壇.
角氏は「高精度な画像診断を目指して」と題して,自らの研究テーマである唾液腺腫瘍のMRI診断について,特に若手歯科放射線科医向けに講演.多形腺腫などの良性腫瘍から始まり,MALTリンパ腫等の悪性腫瘍に至るまで,WHO分類に従って,それぞれのMRI画像での特徴やADC,TICによる分析などを解説.
田中氏は「画像診断学と医療DX」と題して,令和8年度から全国展開を予定している我が国の「全国医療情報ネットワーク」の概要を解説するとともに,標準化規格として示されているHL7 FHIRについても触れ,歯科放射線学分野でも頻用されているDICOMとHL7 FHIRの連携の現状を説明.歯科放射線科医も積極的に規格策定プロセスに参画して欲しいと訴えた.
角美佐氏 (長崎大)と金田 隆氏(日本歯科放射線学会理事長)
 第1回若手歯科放射線科医の集いも開催され,現理事長の金田隆氏(日大松戸)は「世界を目指せ! 日本の若手歯科放射線科医として」と題して,また,次期理事長の村上秀明氏は(大阪大)は「若手歯科放射線医に向けて ―学問のすすめのすすめ―」と題して両氏の海外留学経験や留学に至った経緯について講演を行った.若手歯科医師に向けて海外に出て様々な縁を結ぶこと,歯科医師になって以降も学びを続けることの重要性を伝えた.
 
 26日午前の教育講演 2では,宮坂道夫氏(新潟大)が「医療倫理~医療・社会の変化,法規制の現状,臨床倫理~」として現代の医療者に求められる臨床倫理について講演を行った.医療倫理の時代ごとの変遷から,意思決定ツールとしての4分割法を実臨床に生かす手順について解説した.
 他にも,堀ちえみさんを招いた市民公開講座,歯科診療診ガイドラインワークショップ,ポスターセッション等が行われ,初夏の新潟の地で充実した3日間となった.

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