2024/05/27
5月24日(金),25日(土),ビッグパレットふくしま(福島県郡山市)にて標記学会が「歯周病学のプロフェッショナリズム―歯周治療の実践知と科学知の融合を目指して―」をテーマに開催された(大会長:高橋慶壮氏・奥羽大)〔オンデマンド配信期間:6月18日(火)~7月18日(木)〕.
特別講演Ⅳ「歯周炎Stage Ⅳ 患者に対する包括的歯科治療について」に登壇した岩田光弘氏(岡山県)は,欧州歯周病連盟(EFP)の診療ガイドラインに準じた歯周炎Stage Ⅳ患者への対応として,矯正治療・歯周組織再生療法のタイミングやインプラント埋入の必要性,短縮歯列適用の是非などについて考察した(座長:齋藤 淳氏・東歯大).
シンポジウムⅢ「ライフステージと病態を考慮した歯周病の個別化医療」(座長:林 丈一朗氏・明海大)では,まず澤田大介氏(京都府)が「開咬に対する歯科矯正用アンカースクリューを用いた歯列弓の非抜歯遠心移動によるアンテリアガイダンスの確立は歯周病予防に有用である」と題し,非抜歯矯正による小臼歯保存とアンテリアガイダンス確立が外傷性咬合の予防に有効だと述べた.
田中真喜氏(東京都)は「歯周病患者における歯周-矯正治療の重要性」と題し,歯周病患者への矯正治療におけるPAOO(periodontally accelerated osteogenic orthodontics)の有効性や,咬合のコントロールを通じた全身骨格安定の可能性について検討した.
髙井基普氏(東京都)は「長期症例から見えてきた『修復・補綴』に求められるもの 『咬頭嵌合位の安定性』に刮目して」と題し,予後においてわずかな変化を見せる咬頭嵌合位の安定と歯周組織の安定が相互補完関係にあること,患者の全身状態を加味した個別化した歯周管理が求められる場面もあることなどを自身の症例から示した.
高橋氏は「広汎型重度慢性歯周炎患者に対する口腔機能回復治療」と題し,同治療における補綴装置の選択肢が増えた一方で,咀嚼能力や残存歯数,主観的な治療満足度,治療費や治療の修正自由度などのパラメータに応じた個別化歯科治療に即したガイドライン等の作成は依然困難であり,個々の症例ごとに最適な対応を模索する必要があるとした.