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日本歯科保存学会2024年度春季学術大会(第160回)開催される
 5月16日(木),17日(金)の2日間,標記大会が仙台国際センター(仙台市)にて「保存治療から最先端治療への挑戦」をテーマに開催された(大会長:齋藤正寛氏・東北大).
 シンポジウム1「新たな展望:保存歯科臨床の到達点と未来への挑戦」では,最初に歯内療法分野から田中利典氏(川勝歯科医院)が「エビデンスと臨床歯内療法」と題し,VPTおよびレーザーによる根管洗浄などをエビデンスと実際のアプローチの両方から解説を行った.次に歯周病学分野から芝 多佳彦氏(医科歯科大)が「歯周炎とインプラント周囲炎の併発に対する治療戦略-治療フローチャートと細菌叢解析の観点から-」と題し,歯周炎とインプラント周囲炎の細菌叢を比較した研究成果から,それらの併発した症例に関し,フローチャートを示しながら治療計画を解説した.最後に保存修復分野から菅原佳広氏(月潟歯科クリニック)が「コンポジットレジン修復の到達点と今後の展望」と題し,実際の症例をもとにコンポジットレジン充填の方法を紹介.これからはデジタル技術などの進歩により,誰でも高いレベルの治療ができるようになることを期待するとした(座長:八幡祥生氏・東北大,片桐さやか氏・医科歯科大).
 シンポジウム2「口腔から腸へ:炎症性腸疾患と口腔疾患の相互関係の解明」では,最初に角田洋一氏(東北大・消化器病態学)が「炎症性腸疾患治療におけるバイオマーカーの意義」と題し,潰瘍性大腸炎とクローン病に代表される炎症性腸疾患の解説から,検体検査によるモニタリングの重要性を解説した.次に北本 祥氏(阪大・免疫微生物学)が「免疫微生物学的な観点から紐解く炎症性腸疾患における口腸臓器連関」と題し,腸炎惹起性口腔細菌が腸管に定着するメカニズムについて,氏のグループの研究成果を中心に紹介した.高橋直紀氏(新潟大)は「下部消化器Pathobiontとしての歯周病原細菌P.gingivalis」と題し,歯周病原細菌が全身疾患に影響を与えるメカニズムを整理した後,口腔常在菌が腸管に感染すると高病原化することについて,Pgによるジンジパインに注目して解説した.最後に八幡祥生氏(東北大)が「炎症性腸疾患による根尖性歯周炎の増悪化機構 その本態と治療展望」と題し,腸炎の影響により根尖性歯周炎が悪化するメカニズムについて,骨髄機能異常に注目した炎症の増悪化を述べ,その治療として抗炎症薬を骨内に浸透させる試みを紹介した(座長:興地隆史氏・医科歯科大,野杁由一郎氏・新潟大).

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