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第27回 米国歯科大学院同窓会(JSAPD)公開セミナー 開催される
 2024年1月7日(日),標記セミナーが御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区)にて開催され,オンラインでも配信された.
 はじめに,開会挨拶に登壇した冨岡栄二会長(東京都・冨岡歯科医院/イエテボリ大学)は,年始の能登半島地震,羽田空港航空機事故へ哀悼の意を表したうえで,欧米留学経験者の集まりである本会にて,できるだけ多くの明日の臨床から役立つ知識を得ていただきたいと述べた.

 《ペリオセッション》として,まず辻 翔太氏(大阪府・歯周病専門クリニックSPIDO/コロンビア大学)が「Dual Zone Technique for anterior immediate implant」というテーマで登壇,上顎前歯部など審美領域のインプラント治療における解決策として,bone zoneとtissuue zoneの二面から考えるDual Zone Techniqueや,インプラントフィクスチャーの特徴(プラットフォームスイッチ,埋入角度,インプラント体のデザイン等)を解説した.
 加藤雄大氏(福岡県・北欧歯科/イエテボリ大学)は「インプラント周囲炎をつくらないインプラント治療」と題し,いまだ予知性のある治療プロトコールが確立されていないインプラント周囲炎について整理,0次予防として最適な位置へのインプラント埋入,清掃可能な適切な上部構造,そして,インプラント周囲粘膜炎のステージでの確実な治療が重要であると解説した.
 大野純一氏(群馬県・大野歯科医院/イエテボリ大学)は「現代の超音波スケーラー論」と題し,ルートプレーニングやデブライドメント等の用語整理を行ったうえで,マグネット型およびピエゾ型の特徴,チップ構造における有効な当て方等を示し,臨床では手用スケーラーも補助的に用いることを捨てるべきでないと加えた.

 次に《補綴セッション》として,大谷恭史氏(大阪府・DENTAL OFFICE OTANI/ワシントン大学)が「セラミックオーバーレイによる接着修復治療」をテーマに登壇,歯質保存的な咬頭被覆が可能で,術後疼痛が少なく,印象採得・セメント除去が簡易,咬合高径の低い歯にも応用でき,帯環効果が期待できるなど,オーバーレイの多くの利点を示し,歯科臨床における有効性と可能性を示した.
 土屋嘉都彦氏(大分県・土屋デンタルクリニック/インディアナ大学)は「ジルコニアをインプラント補綴にどう使用するのか?」をテーマに,インプラントを用いた全顎的アプローチの利点や,ジルコニア使用による効果・臨床上の注意点(模型精度,厚み,インプラントポジション等)をまとめ,患者要望に応じた治療をいかに実現していくかを解説した.

 《ペリオセッション》として登壇した二階堂雅彦氏(東京都・二階堂歯科医院/タフツ大学)は,「Controversies in Periodontology ペリオをめぐる論争」と題し,根分岐部病変における歯周組織再生療法の効果や,近年呈示されたNIPSA(Jose,2018)など軟組織マネジメントの可能性を症例を元に解説し,臨床上の疑問を突き詰めていくことで,求めている情報やメンターに出会えるなど道が開かれていくと聴講者にエールを送った.

 《矯正セッション》として登壇した賀久浩生氏(東京都・スーパースマイル国際矯正歯科/ボストン大学)は,「ボストン大学矯正歯科大学院で学んだレガシーをテジタル矯正臨床に活かした現在」と題し,歯科矯正治療にアライナー装置が誕生した流れ,アライナー矯正の適応症や治療効果を症例をもとに呈示し,デジタル応用により可能となった診断・患者説明時の視覚化など,矯正歯科臨床の現在地についてまとめた.

 最後に登壇した須田剛義氏(大阪府・須田歯科医院/タフツ大学)は,《補綴セッション》として「複雑な症例における補綴治療の役割」をテーマに,咬合デザインにおいて重要となる事項を臨床例にて解説,審美,機能,予知性を考慮した治療計画立案の重要性や,複雑な一連の歯科治療において補綴医が他科とのコーディネートを担う必要性があること等を解説した.

 次回公開セミナーは2025年1月に,二日間にわたり開催される予定である.

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