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第35回日本舌側矯正学会学術大会 開催される
 11月23日(木),第35回日本舌側矯正学会学術大会が「診断力を高める―Top down treatment―」をテーマとして,京都烏丸コンベンションホール(京都府京都市)で行われた(大会長:古谷直樹氏,大阪府).
開会挨拶をする吉田哲也理事長
開会挨拶をする古谷直樹大会長
 特別講演1「壊れた原因から考えよう―歯列不正になった原因を探して,それから,下顎位―」で登壇した筒井照子氏(福岡県)は,50年のキャリアを振り返り,咬合再構成によって顎口腔機能を回復させる矯正歯科治療の難しさについて言及した.
 特別講演2「歯科治療を成功させるために必要なこと」で登壇した木原敏裕氏(奈良県)は,治療の最初に総合的診断を行うことの重要性を指摘し,治療終了後にいかに長期にわたって安定した状態を保つことができるかが肝要だと述べた.
 特別講演3「再生療法と矯正歯科治療の深い関係」で登壇した浦野 智氏(大阪府)は,成人矯正の臨床現場において歯周組織再生療法と矯正歯科治療がどう関連するかについて解説した.
 上記の特別講演終了後は,3名の演者によるシンポジウムが行われ,他科の治療を理解し,一部分だけではなく口腔全体を見渡せる視野が必要であることなどが議論された.
 教育講演1「成長発育と埋伏歯の関係について」で登壇した松本尚之氏(大歯大)は,過去10年間にわたる受診患者のデータから,埋伏犬歯と顎骨の成長発育の関連性を検証した.
 教育講演2「『患者満足度を上げるためのテクニック~外科医と共有したい7つの事項~」で登壇した竹信俊彦氏(大歯大)は,30年近くにわたって顎矯正手術を執刀し矯正歯科医との連携を行ってきた自身の経験から,病診連携においては大きな方針と患者背景を共有することが大切であると語った.
 招待講演「3D manual setup model system in the digital dental era」では,Dr. Sang-Ho Nohが,歯科矯正治療におけるそれぞれの工程について,歯科医が理解すべきデジタルでの操作などを例示しながら解説した.
 依頼講演では,熟達した矯正専門医による発表がなされ,それぞれの論点から症例を検討した.
 依頼講演1「舌側矯正で実現するMI治療」で登壇した南野卓也氏(大阪府)は,舌側矯正における低侵襲治療としての側面に焦点をあて,実際の症例をもとに検討した.続く依頼講演2「舌側矯正治療のAdvantage」で登壇した宇津照久氏(栃木県)は,リンガル,ラビアル,アライナーにおけるバイオメカニクスの違いを比較し,舌側矯正治療がもつ強みについて言及した.依頼講演3「包括的歯科治療における舌側矯正」の演題で登壇した伝法昌広氏(東京都)は,矯正歯科治療の本質を他科の治療のシンプル化であるとし,症例を検討しながら舌側矯正治療の利点を述べた.依頼講演4「リンガルブラケット矯正法の特性・強みを知る」の演題で登壇した大矢伸治氏(兵庫県)は,上顎前突または上下顎前突の症例を供覧し,舌側矯正治療の特性を検討した.依頼講演5「Always and Only」の演題で登壇したDr. Didier Fillionは,Temporary Anchorage Deviceを用いた症例を供覧し,歯科矯正移動について考察した.
 このほか一般口演や学術展示などもあり,学術大会は盛況裡に閉会した.次回は2024年11月23日(土),「治療のクオリティーを高める~Update of the Lingual Orthodontic Treatment~」をテーマとして行われる予定(大会長:石川 剛氏).

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