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関東甲信越歯科医療管理学会2023年度総会・第29回学術大会開催される
 11/12(日),神奈川歯科大学横浜クリニック7階会議室(神奈川県横浜市)にて,標記総会・学術大会(大会長:林 昌二氏/神奈川歯科大学短期大学部特任教授)が,「健康寿命の延伸と生活の質の向上を考える~患者さんのケアをどうするか~」をテーマに開催された〔11/17(金)~12/22(金)オンデマンド配信〕.
 特別講演では「咀嚼機能の向上と健康寿命の延伸と生活の質の向上を考える」をテーマに2名が登壇.
 パート①では,弘田明成氏(東京・駒沢・アット・ホームクリニック院長/医学博士)が「平均寿命・健康寿命・そして生き生き寿命~医療の関わり合い~」と題して,現在の65歳・高齢者の定義を75歳に引き上げ,医療・介護される側の高齢者ではなく,生きがいをもった社会の一員,社会資源として,その能力を生かせるような社会構造をつくることを提案.
 パート②では,林 昌二氏が「高齢化社会でのインプラント治療の展望」と題して,要介護状態あるいは認知症になっても管理しやすい,将来を見据えたインプラント治療の提案や教育の必要性を述べた.
 教育講演では,「これから求められる歯科衛生士とその教育」をテーマに石川裕子氏(千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科教授)が登壇.就業歯科衛生士数は歯科衛生士名簿登録者数の約半分であることや現在の教育の現状を報告.卒前は基礎を,卒後はリカレント教育含めアドバンスを学べるようなシステムの構築と,専門職としてキャリア教育が必要であるとの持論を述べた.
 シンポジウムでは,「高齢者治療の残存歯とインプラント治療の共存を考える」をテーマに4名のシンポジストが登壇.
 佐藤大輔氏(昭和大学歯科病院インプラントセンター副センター長/昭和大学歯学部インプラント歯科学講座講師)は「超高齢社会におけるインプラント治療~高齢者へのインプラント治療をどう考えるか?~」と題して,大学病院のインプラント専門外来の立場から報告.高齢者のインプラントの埋入についてはリスクはあるが,健康であれば積極的に行うべきで,インプラントオーバーデンチャーの有効性についても紹介.
 柴垣博一氏(日本歯科医療管理学会専務理事・認定医/日本口腔インプラント学会専門医・指導医/医療法人賢信会柴垣歯科医院理事長)は「天然歯とインプラントの共存を求め~インプラント臨床25年から導かれるインプラントとは~」と題して,地域密着型の歯科医院の立場から25年間の臨床症例を紹介.患者との信頼関係を構築しながら,科学的根拠と倫理観をもって,安心・安全なインプラント治療を地域で展開していくことが今後ますます求められると発信.
 河野章江氏(日本歯科衛生士会副会長/講道館ビル歯科・口腔外科)は「高齢者におけるインプラントのメインテナンス~歯科衛生士の立場から~」と題して,インプラントのメインテナンスプログラム(口腔衛生状態,咬合状態,プロフェッショナルケアなど)を具体的に紹介.患者が将来通院できなくってとしても困らないような,将来を見据えたメインテナンスプログラムを治療前から考える必要性を述べた.
 藤川隆義氏(医療法人社団藤川歯科医院理事長/新札幌・ひまわり歯科院長/日本障害者歯科学会指導医)は「訪問歯科医療から見えてきた天然歯とインプラントのケアについて~訪問診療歴40年からみた生活の質の向上としての歯科医療,生涯に渡るインプラントケアについて~」と題して,老人介護施設や特別養護老人ホームでの訪問診療や口腔衛生管理の実態を報告.インプラント埋入の有無など入所者の口腔内を把握していないケースが多く見受けられたことから,歯科衛生士が中心になって,多職種とともに口腔健康管理に取り組むことの必要性を述べた.
シンポジウムのディスカッションの様子(左から佐藤氏,柴垣氏,河野氏,藤川氏)
 その後,シンポジストによるディスカッションが行われたが,他院でインプラントを埋入した患者が来院したときの対応(治療及び金銭面)はどうしているのか,適切なメインテナンスの頻度など,日常臨床に直結する質問が飛び交い,有意義な情報交換の場となった.
 ほかに一般口演6題,ポスター発表4題と,1日コースとは思えない充実のプログラム構成.弘田氏の「高齢者が幸福に生きることが日本の未来を明るくする」という言葉が示すように,高齢社会を憂えるのではなく,ピンチをチャンスに変え,安心・安全な社会をつくることに寄与できる歯科医療のさらなる可能性をみた.
ポスター発表の様子

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