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第82回日本矯正歯科学会学術大会 開催される
 11月1日(水)~3日(金・祝),朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターおよびホテル日航新潟(新潟市中央区)にて標記学会が「矯正歯科のあるべき姿を再考しよう-伝統と進化-(Reconsider the Ideal Situation in Orthodontics-Tradition & Evolution-)」をテーマに開催された(大会長:齋藤 功氏・新大).
 シンポジウム1『矯正臨床における形態と機能の連関を探る』(座長:宮脇正一氏・鹿大,友成 博氏・鶴見大)では,根岸慎一氏(日大松戸)が「不正咬合発症と咀嚼機能との関連性」と題し,不正咬合が咀嚼機能に及ぼす影響や,咀嚼運動が上顎歯列側方拡大に及ぼす影響ならびにそれに伴う下顎歯列の適応性について検討した.
 大川加奈子氏(新大病院)は「顎顔面形態と咀嚼および嚥下機能との連関」と題し,個性正常咬合者や顎変形症を含む不正咬合者を対象とした舌圧研究や咀嚼運動・咀嚼行動研究について紹介した.
 菅崎弘幸氏(鶴見大)は「不正咬合と脳血流の関連」と題し,不正咬合者の咀嚼時脳血流を調べた研究から,不正咬合は脳機能に影響を及ぼし認知機能への影響も示唆されるとした.
 大賀泰彦氏(鹿大)は「歯顎顔面形態と口腔機能・消化機能・心理の関連性」と題し,骨格性3級の顎変形症患者に消化器症状や不安・抑うつ傾向が多くみられるなど,顎顔面形態と全身の機能・心理の関連について述べた.
 小野卓史氏(医科歯科大)は「呼吸機能障害と不正咬合・顎顔面成長の変調」と題し,鼻呼吸障害(口呼吸)と顎顔面形態の変化との関連や鼻閉側からの回復タイミングとその効果,咀嚼機能低下が学習記憶障害を誘発する可能性などについて,自身の研究結果から考察した.
 シンポジウム2『100周年学術研究プロジェクトの意義、進捗そして今後』(座長:槇 宏太郎氏・昭和大特任教授,森山啓司氏・医科歯科大)では,同学会が2026年に100周年を迎える記念事業の一環として立ち上げた上記プロジェクトにおける採択課題の概要が示された.
 まず中納治久氏(昭和大)が「小児の不正咬合に関する大規模調査(中間報告)」と題し,同学会会員を実施対象とし,18歳以下の来院患者の不正咬合の現状と傾向を集計・評価する「小児の不正咬合に関する大規模調査」の進捗と今後について報告した.
 佐藤嘉晃氏(北大)は「Dental anomaly による不正咬合の治療結果の検証、および多様性がある中での標準的な治療アウトカムの構築とアーカイブ化」と題し,多様な要因の関与する不正咬合の治療アウトカム評価と標準治療の構築・策定に向けた取り組みを述べた.
 小川卓也氏(医科歯科大)は「顎顔面先天異常を呈する希少遺伝性疾患レジストリ構築に向けた取り組み」と題し,保険未収載の上記希少遺伝性疾患に関する情報収集・発信や全国調査に向けた患者レジストリ構築の概要を説明した.
 宮脇氏は「不正咬合患者の矯正歯科治療による機能の変化:多施設共同研究 第1報(倫理審査から初回検査まで)」と題し,矯正歯科治療前後および治療中の患者を対象とした横断的・縦断的な形態・機能評価に向けた多施設共同研究の進捗状況を示した.
 金高弘恭氏(東北大)は「アライナー型矯正装置に関する適切な診療ガイドライン策定を目指した多機関共同研究」と題し,すでにトラブル事例等も報告されているアライナー型矯正装置について,多施設で理工学的評価,臨床評価および文献的考察を行い,同学会による診療ガイドライン策定を目指すとした.
 海外教育講演では,『Maxillary expansion and protraction in the primary, mixed and permanent dentitions』と題し,Peter Ngan氏(ウェストバージニア大)が登壇.Ⅲ級症例の早期治療における上顎前方牽引と歯列弓拡大をテーマに,現在に至る流れや治療システム,最適な治療年齢,長期安定を鑑みた適応症例等について解説した.
 シンポジウム3『基本・臨床研修の現状と今後―新専門医制度発足(未定)にあたり―』(座長:谷本 幸太郎氏・広大,川元龍夫氏・九歯大)では,まず友成 博氏(鶴見大)が,「新たな矯正歯科専門医(仮称)制度の概要」と題し登壇.日本歯科専門医機構が示す基本整備指針を満たし,かつ,本学会の既存の認定医,指導医,専門医,臨床研修機関等の制度との互換性がとれた,広告可能な矯正歯科専門医(仮称)制度を実現するための骨子について,要点を解説した.
 友成氏の解説を受け,国内6大学矯正歯科教室における育成プログラムについて,おもに認定医取得までの流れに焦点を当て,解説された.新潟大学からは丹原 惇氏(同大 歯科矯正学分野),東京医科歯科大学からは小川卓也氏(同大 顎顔面矯正学分野),広島大学からは國松 亮氏(同大 歯科矯正学),九州歯科大学からは郡司掛香織氏(同大 顎口腔機能矯正学分野),愛知学院大からは佐藤琢麻氏(同大 歯科矯正学講座),東京歯科大学からは有泉 大氏(同大 歯科矯正学講座)が登壇し,基本研修・臨床研修における特徴・強みなどが紹介された.
 『JOS フォーラム』ではJOSホットトピックスとして「新たな矯正歯科専門医(仮称)制度の意義」と題し,今井 裕氏(日本歯科専門医機構理事長)が登壇.国民にとって安心安全かつ理解しやすい,広告可能な専門医制度を構築していくために,第三者機構としての専門医機構の意義を改めて解説し,矯正歯科専門医(仮称)に関わるこれまでの流れ,現状等についても報告した.

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