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第53回日本口腔インプラント学会学術大会 開催される
 9月15日(金)~17日(日),札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)にて標記学会が「国民から信頼される口腔インプラント治療―口腔機能回復によるQOL向上への貢献―」をテーマに開催された(大会長:横山敦郎氏・北大).
 BACK TO THE BASICS「口腔インプラント治療に必要な知識と技術を再考する」(座長:簗瀬武史氏・日本歯科先端技術研究所,澤瀬 隆氏・長大)では,まず下野正基氏(東歯大)が「治癒の病理~インプラント臨床の疑問に答える~」と題し,インプラント周囲組織における13の疑問に対し,病理学的観点から検討を加えた.
 宮本洋二氏(徳大)は「口腔インプラント治療の術前診断とそれに起因する併発症」と題し,インプラント治療におけるトラブル予防策について,特に下歯槽神経やオトガイ神経に焦点を当てて解説した.
 勝山英明氏(みなとみらい(MM)インプラントアカデミー)は「インプラント手術のリスク評価と選択のガイドライン」と題し,インプラント治療のリスク評価のフォーマット化,手術術式の選択について述べた.
 古谷野 潔氏(九大)は「咬合の歴史的変遷とインプラント治療のための現代咬合論」と題し,ある咬合様式に他と比較して優れた臨床的アウトカムが見られるというエビデンスは現状存在しないこと,今後の咬合論は咬合面形態に加えて力の強さやコントロールを考える必要があるとした.
 船越栄次氏(九州支部)は「歯周病専門医の考えるインプラント周囲炎の予防的アプローチ」と題し,インプラント周囲疾患の定義と病態,細菌叢に触れ,長期経過症例を通じて同疾患のリスクと予防について考察した.
 シンポジウム4「長期安定性から見たインプラント周囲疾患の予防と治療:現状と課題」(座長:渡沼敏夫・埼玉インプラント研究会,和泉雄一・総合南東北病院)では,辰巳順一氏(朝日大)が,インプラント周囲疾患における予防の重要性や,インプラント体の接合部や粘膜貫通部の形状・性状に関し,細菌侵入を防ぐためのさらなる研究開発の重要性に言及した.
 近藤尚知氏(愛院大)は,インプラント周囲炎治療におけるNiTi製ワイヤーブラシを用いたデブライドメント+自家骨移植の有効性や,長期予後獲得のためのメインテナンス手法を紹介した.
 村井健二氏(ジャシド)は,自身の症例を通じて,メインテナンス主導型インプラント治療・インプラント周囲疾患の重症化対策の観点から取り組んだ臨床対応を示した.
 シンポジウム6「インプラントの咬合を再考する」(座長:荻野洋一郎氏・九大,上林 毅氏・北海道形成歯化研究会)では,尾澤昌悟氏(愛院大)が「歯根膜を考慮したインプラントの咬合」と題し,インプラントの咬合に関する現状のエビデンスを総攬し,歯根膜が存在しないことを前提とした上部構造の咬合付与に細心の注意を払うべきとした.
 依田信裕氏(東北大病院)は「カンチレバーブリッジに付与する咬合―インプラントに加わる荷重からの考察」と題し,適切に設計されたカンチレバーブリッジの臨床成績は良好である一方,同部が主機能部位になる場合に過荷重となるリスクが大きいとして対応法を検討した.
 和田誠大氏(阪大)は「可撤性上部構造に付与する咬合とその経年変化を考える」と題し,インプラントオーバーデンチャーでは現状,咬合様式付与の明確な基準がないことを述べ,さらに一般的な可撤性義歯と比べて人工歯の摩耗や破折のリスクがあるため,状況に応じた適切な対応が求められるとした.

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