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第26回 成育歯科医療研究会大会開催される
 6月28日(水),29日(木),標記大会が「絆,繋ぐ,笑顔」をテーマに,現地開催としてはコロナ禍による3年間の延期を経て開催された(大会長:森川和政氏/岩手医科大学小児歯科学・障害者歯科学分野)(於:プラザおでって/岩手県盛岡市).

 初日のプレセミナーを経て,二日目に総会・研究大会が行われた.
 教育講演では「定期歯科健診の光と影そして未来」と題し,佐々木 洋氏(東京都・UTAKA DENTAL OFFICE 佐々木歯科)が登壇.まず,小児歯科医療が誕生するに至った戦前からの変遷,小児歯科領域が健康保険制度に導入されるまでの経緯,当時の小児歯科のキーパーソン(ライオン児童歯科院初代院長・岡本清纓氏,東京医科歯科大・落合靖一氏,ほか)について解説.疾病構造がう蝕から歯並び・咬合の問題,そして,食べ方・口腔習癖の問題へと変化してきたこと,近年では子どもの貧困の問題などにより,口の中だけでなく,生活までのまなざし抜きには対応できないとし,「定期健診」を健康支援・生活支援にいかすことの意義をまとめた.定期健診は異常の検出・伝達の場ではなく,暮らしへのまなざし,生活環境への還元の場として重要であるとした.
 山﨑要一氏(鹿児島大名誉教授)は,「大学人としての成育歯科医療の展開 咬合誘導懇話会・研究会,成育歯科医療研究会への変遷を通して」と題し,恩師・中田稔先生(九州大学)のもと,「咬合誘導」との出会いや,仲間・メンターとの出会いと関わり,咬合誘導研究会(1996年発足)が現・成育歯科医療研究会に至る歴史,自身の研究活動(日本人小児の永久歯先天性欠如に関する調査研究)や鹿児島県離島の無歯科医村における医療活動など,これまでの歯科医師としての歩みの一端や本研究会の今日までの背景等を紹介した.

 午後の部・オープンクリニック特別編では,枡富由佳子氏(徳島県・枡富歯科医院),森中和子氏(福岡市・モンテ矯正歯科クリニック),竜 立雄氏(福島県・RYU 矯正歯科クリニック郡山プレミア)が登壇.
 枡富氏は「私の臨床の基本:先を見据えた小児歯科臨床をめざして ~20歳をいい口腔内でスタートするために~」をテーマに,自院の症例をもとに「6424達成者」など長期安定者の歯科的共通点や,中高生時期のメインテナンス継続が生涯メインテナンス,ひいてはヘルスリテラシーの確立ににつながること等を解説した.
 森中氏は「矯正治療のゴールを患者さんと共有するための当院の工夫」と題し,矯正歯科治療の基本事項や,矯正歯科医としてGPとの連携に重要となる視点をまとめ,昨今流行的に取り上げられているさまざまな矯正情報があるなか,患者が後悔しない矯正治療を実現するための考え方等を解説した. 
 竜氏は「成長発育期におけるツインブロック装置による顎顔面整形治療」をテーマに,自身の経歴,診療室を紹介したうえで,上下顎に分かれた床矯正装置・ツインブロックを用いた,II級I類症例に対する治療例を供覧した.

 特別講演では,「東日本大震災被災地の歯科医療に携わり11年地域の“寄りそ医”を目指して」と題し,河瀬聡一朗氏(宮城県・石巻市雄勝歯科診療所)が登壇した.2011年の東日本大震災での被災地支援をきっかけに石巻市に拠点を移した経緯や,地域での歯科診療活動を通し,老老介護の現場から家事全般に不慣れな「男性介護者」を支援する「男の介護教室」をはじめ,地域医療・福祉を繋げるキーパーソンとして,ネットワークを築くに至る活動等を紹介した.


教育講演の佐々木氏
会場内の様子

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