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TDCアカデミア 口腔機能セミナー開催される
 2023年6月4日(日),東京歯科大学水道橋校舎新館(東京都千代田区)にて,東京歯科大学同窓会主催の標記セミナーが開催され,「健全な口腔機能を獲得し維持するために~口腔機能低下症の予防は,口腔機能発達不全症の解消にあり~」のテーマで3名の演者が講演を行った.
 上田貴之教授(東歯大・老年歯科補綴)は,口腔機能低下症はこれまで運動・分泌・感覚など個別に対応されてきた機能を全体で捉え,障害が起こる一歩手前でアプローチする視点から生まれた考え方と紹介.高齢の地域住民の半数近く,歯科医院受診者の6~8割に口腔機能低下症がみられるとのデータを示すとともに,若年者に認められる口腔機能低下症は成長発育期の口腔機能発達不全によるものではないかと問題提起された.
 これを受けて,井上敬介氏(愛知県開業)が口腔機能発達不全症の原因と対処法について講演.主な原因として舌小帯と鼻閉に注目し,これらが口呼吸や低位舌,異常嚥下につながり,食べる・しゃべる・眠る・呼吸といった生活に必要な機能に問題を生じるとした.さらに,舌小帯の異常は母乳育児の妨げとなり子どもの発育に重大な影響を及ぼしうることから,乳児期の歯科検診の必要性を強く訴えた.
 続いて,上田教授と久保慶太郎氏(東京都)が相次いで口腔機能管理の実際について紹介.上田教授は歯科衛生士による口腔機能管理の時間を設定することを提案し,チームで取り組む必要性を強調した.
 久保氏は診療室で口腔機能管理を行うポイントとして,効率的な検査の方法を紹介し,機能訓練の実際について症例を提示された.訓練は患者の個性に合わせ,シンプルなメニューにして継続してもらうことが有効と述べ,高齢者に対しては口腔機能を意識した治療が重要と結んだ.

 
左から上田教授,井上氏,久保氏

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