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第13回 日本歯科衛生教育学会学術大会開催される
 2022年12月2日(金)~16日(金),第13回日本歯科衛生教育学会学術大会が「教育から発信!歯科衛生士の魅力と専門性~これからの歯科衛生学教育に求められるもの~」をテーマにWeb上にて開催された.理事長挨拶では,石川裕子氏(千葉県立保健医療大学教授)より,Web開催も3年目となったが,今年も会員の先生方に積極的に参加(視聴)頂きたい旨,呼びかけがなされた.
 大会長挨拶では,山田小枝子氏(朝日大学歯科衛生士専門学校副校長)より,現地開催の準備も進めてきたが,新型コロナウイルスの感染状況を考慮し,やむなくWeb開催となった事,また,全国の会員の先生方から講演11題,ポスター12題の一般演題が寄せられた事が報告された.
 特別講演では「知っていますか? 口呼吸の弊害」~呼吸から起きてくる様々な問題~をテーマに,今井一彰先生(みらいクリニック院長)が登壇.幼児・小児期であれば健全な口腔機能発達により正しい鼻呼吸の獲得,壮年期であれば睡眠時無呼吸症候群の改善,老年期であれば咀嚼嚥下機能の維持による誤嚥性肺炎の予防と,ライフステージすべてにおいて,「呼吸」がかかわることを内科医から解説した.
 教育講演Ⅰでは,「令和のTBIに求められるもの~医科の視点から~」をテーマに西田 亙氏(にしだわたる糖尿病内科院長)が登壇.50年前に比較して,わが国の医療費・介護費が膨大に膨らみ,2020年の社会保障給付費割合は5.8%から33.6%までに激増していることを皮切りに,予防にシフトしなければならないこと,また,人工透析につながる糖尿病の予防が急務であることを提言.歯周病を予防することで血糖コントロールが安定することは当然ながら,最近ではアルツハイマー認知症についてもP.g菌が関与することが明らかになってきたことを根拠をまじえて解説.その予防に関わる最前線が歯科衛生士であることを繰り返し強調した.科学的な根拠になる原著文献を読み,知識を定着させ,それを患者さんにわかりやすく伝え,行動変容を起こすよう支援できる歯科衛生士像を強く求めた.
 教育講演Ⅱでは,辰巳順一氏(朝日大学歯周病学分野教授)による「歯周病の新分類(2018)を読み解く」,教育講演Ⅲでは,友藤孝明氏(朝日大学口腔保健学分野教授)による「若手研究者のための論文執筆ガイド」,教育講演Ⅳでは,尾﨑哲則氏(日本歯科医療管理学会理事長)による「利益相反って 何なの?」が行われた.
 シンポジウムは高阪利美氏(愛知学院大学特任教授)の座長の下,「臨床現場と臨床実習」~現場の声を聞いてみよう,これからの指導について~をテーマに,3人の演者が登壇.
 長縄弥生氏(愛知県がんセンター)は,「社会が求める歯科衛生士になるために」と題して,自身の臨床経験から,これからの歯科衛生士には多職種連携,チーム医療がますます求められ,そのためにはコミュニケーション能力やマネジメント能力を高める必要性があると述べた.前田尚子氏(三重県立公衆衛生学院)は,「臨床実習から『社会に出て役立つ力』を育てるには」と題して,臨床・教育の両方の経験を生かしながら,経済産業省が提唱する「社会人基礎力」をキーワードに,“リフレクション”の重要性などが話された.渡邉理沙氏(桶狭間病院藤田こころケアセンター)は,「臨床実習指導の実際」として,急性期~慢性期,在宅とさまざまな種類の職場を経験し,また臨床実習を受け入れてきた立場から,受け入れ側が抱えている課題や養成校と受け入れ先との連携の重要性などが示された.
 ディスカションでは,看護師と比較して実習指導者向け講習会の質・量の充実を求める意見や臨床実習の受け入れは,実習指導者にとっても貴重な機会であり卒後一定の年数を経た歯科衛生士は,自らのキャリア形成の面からも是非,積極的に経験をしてほしい,等の議論が交わされた.
 次回,第14回学術大会は,2023年12月2日(土)~3日(日),東京にて開催予定(大会長:合場千佳子氏/日本歯科大学東京短期大学教授).

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