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第29回JIADS総会・学術大会 開催される
 12月10日(土),11日(日),第29回JIADS総会・学術大会が「チームアプローチ成功の鍵を探る」をテーマとしてベルサール九段(東京都千代田区)で行われた.
 新理事長就任講演「JIADSだから伝えられること」では,新理事長の松井徳雄氏(東京都中央区)が今年35年目を迎えるJIADSの軌跡を振り返り,情報に溢れた現代において,JIADSにこそ伝えられることは何かを語りかけた.
新理事長就任講演を行う松井徳雄氏
 特別講演では,4名の演者が登壇した.
 「清く,正しく,美しく,そして賢いチーム医療を目指して!」で登壇した林 美穂氏,藤本和泉氏(福岡県)は,歯科医院で行われている取り組みを数多く紹介し,院長が示す方向性に同じ熱量で進んでいけるスタッフを育成するための心がけを提示することで,チーム医療とはどうあるべきかを検討した.
 「チーム医療で何を診るのか」で登壇した長谷川嘉昭氏,川崎律子氏(東京都中央区)は,病因検査を取り入れ,歯科衛生士とともに闊達に議論しながら治療経過観察をする手法の実践を紹介し,プロフェッショナルとして着目すべき視点を提示した.

 Dr,DH会員発表では,7名の演者が登壇した.
 「日常臨床におけるAPFの意義~歯肉縁下カリエスへの挑戦~」の演題で講演した木村 学氏(埼玉県)は,骨外科処置を伴うアピカリーポジションドフラップ(APF)を用いて歯肉縁下カリエスの症例を紹介し,適応症の選択や術前診断の重要性について話した.「永続性の高い歯周組織の獲得をめざして 根面被覆術を行なった症例」の演題で講演した田口 淳氏(岡山県)は,多数歯にわたる歯肉退縮のみられる症例に対して異なる術式の根面被覆術を行った例を報告した.「JIADSコンセプトを実践した包括的歯科治療~ラーニングステージとともに~」の演題で講演した山本 誠氏(大阪府)は,臼歯部欠損によって咬合に問題の出た患者にインプラントを用いて総合的な治療を行ったことを振り返り,JIADSで学んだ知識と技術が実践に生かされている様子を報告した.ビデオ講演となった「矯正治療前に結合組織移植術をおこないphenotypeの改善をした症例」では,髙野琢也氏(茨城県)が,矯正治療による歯牙移動前に結合組織を用いてしにくい側術を行った症例を供覧し,歯肉退縮のリスクを減らすことの重要性を指摘した.
 「マイクロスコープを用いたアシスタントワークと歯科衛生士業務について」で登壇した宇野菜都美氏,浅子玲菜氏(埼玉県)は,明確な患者説明が信頼関係に繋がるとして,そのためにマイクロスコープの利点を最大限活用するためのアシスタントワークと衛生士業務について話した.「健康と幸せに貢献できる歯科衛生士を目指して」の演題で登壇した熊谷優衣氏(東京都文京区)は,患者の口腔の健康を維持するために歯科衛生士が貢献できることについて,実際の臨床例を交えて検討した.

 海外学会講演では,両日にわたって6名の演者が登壇した.
 「Effective Techniques for Space Maintenance in Periodontal Regenerative Therapy」の演題で講演した奈良嘉峰氏(神奈川県)は,歯間乳頭を切開しないフラップデザインの実践などを通して,歯周組織再生療法における再生のスペースの維持と創造の重要性について示した.「歯間乳頭の再建を目指した根面被覆術について」の演題で講演した小野晴彦氏(大分県)は,Cairoの分析におけるRT2の歯肉退縮例に対して,リグロスを併用し,結合組織移植とMCAT,猪子光晴氏考案のinner sling sutureを用いた方法を供覧した.「歯間乳頭再建への挑戦」の演題で講演した岩田光弘氏(岡山県)は,連続性を失った歯間乳頭の再建を成功させるには,歯周形成外科のみならず矯正治療や補綴治療との連携が不可欠であるとし,これまでの臨床例を示しながらその可能性について検討した.「The predictable vertical bone augmentation By Upward motion scissors technique(UMST) with Titanium mesh」の演題で講演した猪子光晴氏(北海道)は,垂直的GBRに求められる高度なスキルやマテリアルの選択,骨の安定度などを検討したうえで,インプラント治療における骨造成についてこれまでの臨床例を供覧しながら情報を整理した.
 「治療結果の長期的安定を目指して~清掃性に裏付けられた審美と生体に調和した機能の獲得~」の演題で講演した佐々木 猛氏(東京都中央区)は,インプラント治療を行った口腔内の環境が非常に複雑である点を指摘し,炎症と力を良好にコントロールするためには,清掃性の高い歯周環境,精密な補綴修復,安定した咬合を遵守することが重要だとして,その実践を示した.「Optimal Regenerative Protocol for Esthetic Rehabilitation Utilizing Growth Factors」の演題で講演した瀧野裕行氏(京都府)は,EMD,FGF-2の有効性について,根面被覆術や歯間乳頭再建術の成功例とトラブルを比較しながら検討した.

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