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第7回補綴歯科臨床研鑽会「プロソ’22」 開催される
 10月30日(日),九州大学医学部百年講堂(福岡市東区)にて標記会が「そろそろポンティックについて語らないか?」をテーマに,現地+ライブ配信のハイブリッド方式で開催された(大会長:澤瀬 隆氏・長崎大).
 セクション1「ポンティック概論(分類,歴史)」(座長:澤瀬氏,本多正明氏・関西支部/日本臨床歯科学会)では,まず本多氏が「咬合支持から歯列弓の保全を考察」と題して,ポンティックの臨床応用に際しても生物学的条件,咬合・力学的条件,審美的条件を達成することの重要性や,咬頭嵌合位の安定を図ることが補綴装置の長期安定に繋がることを指摘.
 新谷明一氏(日歯大)は「ポンティックの分類,歴史,材料,治療計画」と題し,基底面形態に基づくポンティックの分類と変遷,選択される材料および実際の臨床例を示し,欠損部の顎堤粘膜の形態に応じて基底面形態を決定することが肝要ではないかとした.
 熱田 生氏(九大)は「ポンティック周囲における軟組織構造を基礎研究から考える」と題し,「ブリッジのポンティック底部は粘膜と接着するか?」,「抜歯後の組織と粘膜はどのように変化するか?」という臨床的な疑問に対して解剖学的・組織学的視座から考察を加えた.
 セクション2「接着時代のリテーナー(支台装置)最前線」(座長:小峰 太氏・日大,川畑正樹氏・九州支部/日本臨床歯科学会)では,高岡亮太氏(阪大)が「接着ブリッジの文献的考察ならびにワークフローの再考」と題し,接着ブリッジの診断;適応症,前処置;抜歯窩のマネジメント,設計;リテーナーデザインと支台歯形成,プロビジョナルレストレーション,光学印象,装着・メインテナンスについて文献をもとに検討した.
 野村勇太氏(中国・四国支部/日本臨床歯科学会)は「前歯部欠損における接着ブリッジの有効性」と題し,接着ブリッジを応用した臨床例を通じて,マテリアルセレクションやリテーナーの設計,支台歯形成,確実な接着操作の重要性について臨床家の立場から検討した.
 セクション3「欠損顎堤の保存と増大,スカルプティングから最終補綴への移行」(座長:藤澤政紀氏・明海大,西 耕作氏・日本臨床歯科学会)では,日高豊彦氏(西関東支部/日本臨床歯科学会)が「ポンティック長期予後の要素と変形した欠損部顎堤の解決法」として,代表的な基底面形態として鞍状型,リッジラップ型,オベイト型の利点と欠点を整理したほか,欠損部顎堤に対する歯槽堤増大術や抜歯窩のマネジメントに言及した.
 佐藤洋平氏(鶴見大)は「スカルプティングから最終補綴への移行」と題し,欠損部顎堤粘膜の形態調整手法として3つのアプローチ(①基底面を抜歯窩に嵌入させる,②プロビジョナルレストレーションで徐々に基底面を形成する,③最終補綴装置の基底面に合わせて顎堤を形成する)について解説.口腔内スキャナを応用した「デジタルティッシュスカルプティング」の手法も示した.
 セクション4「ポンティックフォーカス臨床」(座長:近藤尚知氏・岩医大,土屋賢司氏・東京支部/日本臨床歯科学会)では,小濱忠一氏(東北・北海道支部/日本臨床歯科学会)ならびに上林 健氏(日本臨床歯科学会)が「ポンティックに対するチェアーサイド-ラボサイドワーク」と題し,ポンティックデザインにおいて審美的要件,生理的要件,機械的要件を達成するために必要な歯科医師と歯科技工士の連携について解説.
 鈴木真名氏(日本臨床歯科学会)は「審美修復治療のための欠損歯顎堤のマネージメント」と題し,歯周形成外科のスペシャリストの観点から歯槽堤増大術の手技やポンティックデザインの選択基準を述べたほか,補綴前処置としてのみならず,マイクロスコープを用いた“補綴後処置”としての対応も有効になるとした.

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