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第81回 日本矯正歯科学会学術大会開催される
 10月5日(水)~7日(金)標記会が「安心・安全な矯正歯科治療を求めて ~COVID-19とともに歩む~」をテーマに開催された(大会長:松本尚之氏/大歯大,於:大阪府国際会議場,オンデマンド配信あり).

 シンポジウム1「顎関節に問題のある患者さんへの対応」では,谷本幸太郎氏(広大)が「矯正歯科治療中における顎関節症の経過からの考察」と題し,顎関節症患者のスクリーニングのための検査プロトコールと診断基準,病態に応じた対応を示した.
 山田一尋氏(富山県)は「矯正歯科治療と顎関節症」として,顎関節症の要因はホスト側の適応性とメカニカルストレスのバランスが崩れることにあるとして多因子要因の管理が重要と指摘した.
 竹信俊彦氏(神戸市立医療センター中央市民病院)は「進行性下顎頭吸収を抱える患者への対応」と題し,未だ発症機序不明の同疾患に関して初診時のスクリーニング事項・鑑別診断や治療フローチャートを示し,発症メカニズムに関しても考察を述べた.

 教育講演では,Glenn. T. Sameshima氏が登壇.矯正治療による歯の移動が原因となって生じる外側根尖歯根吸収(EARR)マネージメントについて,よく尋ねられる10の質問に回答する形で,豊富な臨床例を元に解説した.

 特別講演には,忽那賢志氏(阪大)が「COVID-19の最新流行」状況と題し登壇.新興感染症の出現理由やCOVID-19の感染経路と予防手段,国内で最も多い感染者を生じたオミクロン株(BA.5)やワクチンの考え方について最新情報を交え解説し,今後求められる感染症対策・研究について論じた.

 日韓合同シンポジウム「矯正歯科治療による顎口腔領域における機能の改善と健康の増進」では,両国から4名の演者が登壇.「矯正歯科治療による口腔機能の変化とその関連因子」をテーマに登壇した友成 博氏(鶴見大)は,不正咬合の重症度と口腔機能の各種パラメーターによる評価,矯正治療前後の比較等をデータにて提示.不正咬合者では口腔機能のほか消化機能,脳機能が低下していることを示すデータや,治療後それらが改善すること等を示した.
 Sug-Joon Ahn氏(ソウル国立大)は「関節円板転位患者の口腔機能と健康をいかに向上させるか」と題し登壇.関節円板の転位がある下顎頭の場合,矯正治療に正常に反応しない場合があるとしたうえで,その具体的特徴と改善方法について示した.
 根津 崇氏(根津矯正歯科クリニック)は,「矯正臨床における機能不全への」アウェアネス・トレーニング」と題し,Zero Bioprogressive法の考え方および長期経過症例を提示.治療後の長く安定した結果には機能のチェックが求められるとし,呼吸・嚥下・患者自身が行う訓練(アウェアネス・トレーニング)の重要性を解説した.
 Chooryoung Judi Chung氏(延世大学校)は,「笑顔の改善が高齢者の生活の質(QOL)にプラスの影響を与える」をテーマに登壇.部分的小範囲の矯正治療後の高齢患者の口腔内や笑顔の顔貌写真を提示.若年者と比較して治療満足度が高く,家族・友人への紹介来院にもつながっていること,「若く」「健康的に」みえることからQOLにも大きな影響を及ぼしていることを示した.

 臨床セミナー「エビデンスに基づいたリンガルブラケット矯正法の臨床」では,布川隆三氏(布川矯正歯科),松野功氏(赤坂まつの矯正歯科),出口徹氏(ルイビル大学)が登壇.舌側矯正治療の特徴を示したうえで,臨床症例や舌側矯正に関する論文報告,舌側矯正と唇側矯正における治療結果比較などを示した.舌側矯正においては,フォースシステムを理解したうえで適応症を見極める重要性,抜歯のタイミング等についても言及された.

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