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日本臨床歯周病学会40周年記念大会 開催される
 7月30日(土),31日(日),標記記念大会がオンサイト(会場:パシフィコ横浜)とオンデマンド配信によるハイブリッド形式で開催された(大会長:清水宏康氏/東京都・清水歯科クリニック).

 大会40周年を記念して行われた40周年式典記念講演では,船越栄次氏(福岡県)と二階堂雅彦氏(東京都)が,日本にも臨床の観点から歯周病を語る会を創設したいとの思いから取り組んできた軌跡を紹介した.

 外科セッション「歯周病患者の歯の保存のストラテジー」では,Pierpaolo Cortellini氏(イタリア,フィレンツェ開業)が両日登壇した.hopeless歯への歯周組織再生療法における最先端のアプローチ,および骨内欠損に対する歯周組織再生療法としてのフラップデザイン・再生材料の進歩について論じ,場内は多くの聴講者にあふれた.

 外科セッションの講演「歯周病患者の硬組織と軟組織のマネジメント」では,2名の演者が登壇した.北島一氏(静岡県)は,「歯周組織再生の可能性を高める軟・硬組織マネジメントのコンビネーション」と題した講演のなかで,軟組織,硬組織のそれぞれに対して従来行われてきた術式を振り返り,歯周組織の再生を助けるエナメルマトリックスプロテインやFGF-2などの物質をどのように日常の臨床に生かしていくべきかについて論じた.「歯周病患者におけるTissue Stability」との演題で講演した松井徳雄氏(東京都)は,中長期期間の安定が得られた治療結果について検討し,患者のニーズに応える歯周組織へのアプローチについて語った.

 非外科セッションでは,「私の歯周治療40年―重度歯周炎を歯周基本治療で治す」と題し,谷口威夫氏(長野県・谷口歯科医院)が登壇.自身の50年の歯科医師臨床を振り返り,本邦歯周治療におけるターニングポイントとなった海外演者の来日エピソードや,歯周基本治療のもつ可能性について,数十年にわたる長期経過症例を元に論じた.

 大会2日目の外科セッションでは,講演「歯周病患者の歯の保存のストラテジー」に,2名の演者が登壇した.岩野義弘氏(東京都)は「歯周組織再生療法におけるバイオマテリアルの変遷と展望」の演題で登壇し,歯周組織再生療法が成功するための要点である,細胞,足場,シグナル因子を中心に,それらに貢献するバイオマテリアルの変遷を紹介した.
 大会長・清水宏康氏(同前)は「根分岐部病変のトータルマネージメント」をテーマに,診断やエビデンス考察による治療法選択,臨床的成功の考え方等を解説.根分岐部病変治療の成功率向上には,適応歯に対しては歯周組織再生療法を検討することが有効であるとした.

 非外科セッション「クローズアップ歯周基本治療の部屋」では,村上伸也氏(大阪大学)が「歯周病の進行を科学する 酸化ストレスが歯周組織に及ぼす影響」と題し登壇.歯周病原細菌以外のリスク因子として「酸化ストレス」に着目し,宿主の炎症反応や免疫反応による,歯周病の発症と進行への影響について解説した.
 星 嵩氏(新潟県・星歯科医院)は「エビデンスと臨床から考察する非外科治療の可能性」をテーマに,2020年にEFP(ヨーロッパ歯周病連盟)により発表されたガイドラインを取り上げ解説.エビデンスを理解した上で,それだけを拠り所とせず,術者の技量・経験値,患者の状況・希望等に合わせてに臨床応用していくことが重要とまとめた.
 杉田龍士郎氏(千葉県・スギタ歯科医院)は「歯周治療とプラークコントロール」をテーマに,歯周病発症のメカニズムを整理したうえで,病因となるプラークコントロールに関するエビデンスを呈示しながら,実臨床における考え方をまとめた.

 オンデマンド配信は8月1日(月)~21日(日)まで,学会HPより配信される(https://www.jacp40-2022.jp/).

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