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日本補綴歯科学会第131回学術大会 開催される
 7月15日(金)~17日(日)の3日間,標記大会が大阪国際会議場(大阪市)にて,日本臨床歯科学会(SJCD)との連携共催で開催された(大会長:窪木拓男氏・岡山大).
 日本補綴歯科学会(理事長:馬場一美氏・昭和大)と日本臨床歯科学会(理事長:山﨑長郎氏・東京都)による連携協定の調印式の後,メインシンポジウム「補綴の未来,歯科の未来に向けて」が行われた.「JPS meets SJCD-補綴歯科臨床を科学する」では,馬場氏が1933年に創立した日本補綴歯科学会(JPS)の歴史と現在,さらにこれから目指すものを述べ,SJCDとの協定の目的も解説した.「複雑な補綴治療におけるインターディシプリナリーマネージメント」では,山﨑氏がSJCDの成り立ちから,臨床におけるコンセプトの変化について,症例を供覧しつつナソロジーから歯周補綴,インプラント,審美歯科,デジタルと述べ,現在のAir wayに注目した睡眠歯学への視点を呈示した.「Longevityの予知性~欠損歯列から考察~」では,本多正明氏(大阪府,SJCD副理事長)が大学教育での一歯単位の治療から卒後教育での一口腔単位での治療を学んだ経験を述べ,長期的に良好な機能を営めるための要素の一つである咬合の重要性などを考察した.最後に「JPS meets SJCD-臨床のカッティングエッジを超えるために」では,窪木氏(JPS副理事長)がこれまでの講演内容に触れつつ,ArtとScienceの融合へのJPSの取り組みを紹介.クリティカルパスや技術のキャリブレーションなど,両組織で共有していくことに期待を述べた(座長:土屋賢司氏・東京都,澤瀬隆氏・長崎大).
 特別講演「認知症の口腔機能と食行動」では,池田学氏(阪大,日本老年精神医学会理事長)が代表的な認知症の特徴などについて,アルツハイマー型,レビー小体型,前頭側頭型のそれぞれについて解説しつつ,口腔機能や食行動について解説を行った.さらに,地域包括ケアについての熊本県での成果を解説,認知症患者における歯科医師とかかりつけ医師の連携は,これからの課題であることを指摘した(座長:窪木氏,笛木賢治氏・医科歯科大).
 臨床リレーセッション3「インプラント補綴患者に生じる欠損歯列:次の補綴介入は何を選択するのか?」では,最初の「インプラント治療後に生じた欠損歯列の評価とリスクの予測」では内田剛也氏(川崎市)がカリエス・ペリオ・パワータイプに分類した際のパワータイプや,タイプが混在している症例に関し,TCH,態癖・習慣性咀嚼側など具体的な症例をもとに考察した.「再補綴治療介入-既存インプラントを使った次の一手を考える-」では近藤祐介氏(九歯大)がインプラントカンチレバーブリッジ,IARPD,インプラント支台可撤性部分床義歯のそれぞれについて,症例供覧と論文による考察を行い,メリット・デメリットや注意点を述べた.「インプラント治療時の戦略的抜歯~既存補綴装置の改変と追加埋入の考え方~」では永田浩司氏(医科歯科大)が戦略的抜歯に関する考え方の変遷を述べ,症例を供覧しながら長期にわたる安定を求めた戦略的抜歯の選択について,現在における考え方を呈示した(座長:荻野洋一郎氏・九大,和田誠大氏・阪大).
 専門医研修会「補綴難症例に対する補綴歯科専門医の解決策を共有する(その1)すれ違い咬合,高度顎堤吸収,摂食機能障害」では,最初の「すれ違い咬合の問題点とその対応」大久保力廣氏(鶴見大)がすれ違い咬合の基本から義歯設計の要点,製作過程の注意点など症例を供覧しながら解説した.「高度顎堤吸収症例への対応 デンチャースペース採得とダイナミック印象について」では鱒見進一氏(九歯大)が氏の講座で行われているフレンジテクニックによるデンチャースペース採得の手順を解説,さらに粘膜面の歪みを修正するためのダイナミック印象の術式を述べた.「摂食嚥下障害に対する補綴的アプローチ」では小野高裕氏(新潟大)が咀嚼・嚥下・構音障害をもつ患者への義歯治療に関して解説.舌接触補助床(PAP)や軟口蓋挙上装置(PLP)の臨床について,専門医が知っていることの大切さを指摘した(座長:河相安彦氏・日大松戸,井野智氏・神歯大).
 歯科技工士セッション「歯科医師・歯科技工士の視点から考えるジルコニア製補綴装置の課題と展望」では,近藤尚知氏(岩医大)が「モノリシックジルコニアの臨床応用の現状」と題し,ジルコニアの特徴や咬合調整の手法について症例を通じて解説した.続いて大川友成氏(東海支部/Organ Dental Technology Humburg)が,ドイツにおけるジルコニアの現状を紹介.さらに,接着の重要性やカンチレバー接着ブリッジ製作におけるポイントを示した(座長・小峰 太氏・日大,三浦賞子氏・明海大).

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