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2022年 臨床歯科を語る会 開催される
 7月1日(金)~3日(日)の3日間,クロス・ウェーブ府中(東京都府中市)にて,2022年臨床歯科を語る会が,150名超の参加者のもと開催された.新型コロナ感染症の影響により,3年ぶりの現地開催となった(実行委員長:筒井純也氏/東京都).
 恒例の新人発表では,岡野耕大氏(山口県),奥平章人氏(東京都),佐野瑞樹氏(新潟県),若松尚吾氏(東京都)の4氏が登壇.いずれも日々の丁寧な臨床の一端を報告した
 全体会「垂直的顎位に問題がある症例への対応」では,森本達也氏(静岡県),筒井純也氏(東京都),三上 諭氏(新潟県)が登壇.森本氏は,咬頭嵌合位の変位について,特に部分的な咬合低位に由来する変位のリスクを,イラストを用い詳細に解説.三上氏,筒井氏は咬合挙上をめぐる実際の対応を報告し,その経過を含め分析.垂直的顎位に関する客観的な指標のあり方について議論が行われた.
 分科会では,「欠損歯列における上顎前歯の存在意義」「歯周病患者における矯正治療」「歯科技工の現状と未来」の3つのテーマが設定された.「歯科技工の~」では,歯科医師,歯科技工士それぞれの目線から,院内技工のメリット・デメリットを整理するとともに,歯科技工士教育の現状と課題に言及.さらに,昨今のデジタル技工の波への向き合い方についてディスカッション.歯科技工士の「眼」は絶対的な感性であり,それをどう育てていくか,また歯科技工士とともに歯科医師がどう育っていくかなど,デジタル時代においても普遍的な価値観が共有された.
 夜の部では,「牧野ペリオ道場」「パーシャルデンチャーの直し方」の2つのプログラムが開催された.「パーシャル~」では,松田光正氏(熊本県),鷹岡竜一氏(東京都)が,コーヌステレスコープ義歯の修理を伴う長期の義歯使用例を紹介.また,河村 昇氏(鶴見大),佐藤文昭氏(新潟県)は,義歯の改造について,特にレーザー溶接の実際を紹介しながら解説.使い慣れた義歯を修理して長く使用するメリットは大きいものの,修理を想定した設計であることや,チェア-ラボ間の正確な状況の共有が,適切な修理のために必要であるとした.
 最終日の全体会「下野先生に聞く歯周組織の科学と臨床」では,千葉英史氏(千葉県),牧野 明氏(富山県),楡井喜一氏(新潟県),井汲周治氏(群馬県)の4氏による,臨床上の観察に基づいた歯周組織に関する疑問に,下野正基氏(東歯大名誉教授)が回答する形で展開.
 千葉氏は,拡大した根尖孔部の新生組織が信頼に足りうるものなのか等,歯内療法後の治癒過程における臨床像から5つの疑問を提示.下野氏は,最新の知見を基にセメント質再生のための条件を整理し回答.牧野氏は,臨床家が共有する現象としての「フェストゥーン」について,その組織学的解釈を求め,下野氏は,フェストゥーンの出現位置から,創傷治癒における筋線維芽細胞の関与が鍵となるとの仮説を提示した.楡井氏による,補綴歯周囲歯肉にみられるさまざまな現象の提示に対しては,接着タンパクに関する最新の知見より各種マテリアルと再生上皮の相性について詳説.最後に井汲氏による自家歯牙移植の長期経過の呈示を受け,現在考えうる移植成功のためのさまざまなヒントを提示した.

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