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第63回日本歯科医療管理学会総会・学術大会開催される
 6月17日(金)~6月19日(日),いわて県民情報交流センター アイーナ(盛岡市)にて,標記学会総会・学術大会(大会長:岸 光男氏/岩手医科大学歯学部教授)が,「歯科医療へのそなえは変わったか」をテーマに開催された.
 特別講演では,「不確実性のなかでの意思決定:エビデンスからShared Decision Making,コンセンサス形成へ 」と題し,中山健夫氏(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野教授)が登壇.近年,患者の多様な価値観と,深化したEBMの方法論で明らかにされてきた「エビデンスの信頼性(確実性)と限界(不確実性)」を調和させ,患者と医療者の意思決定と合意形成を並行して進めるコミュニケーションとして注目されているSDM(Shared decision making)について,たとえ同じ疾患を患ったとしても,患者の環境,立場,性格等により,治療方法の選択は異なること等を例にわかりやすく解説.
 教育講演では,「ぬくもりを感じさせる話し方&接し方-もっと顔で話そう,声で話そう-」と題し,坪田まり子氏(有限会社コーディアル代表/東京学芸大学特命教授)が登壇.医療従事者は日頃からマスクを着用して診療にあたっているが,コロナ禍によりいっそうマスクが外せない状況となり,初めて対面した者同士では目だけで互いを判断することが増えている.目しか見えないマスク顔だからこそ,医療従事者が新規患者から信用され,ファンを増やすために“顔で話すこと・声で話すこと”の意義を理論と実践で提言.
 シンポジウム「歯科訪問診療へのそなえは変わったか-地域包括ケアシステムのツールとして-」では,はじめに「地域包括ケアシステムにおける歯科の役割-取組みの変遷-」と題し,佐藤 保氏(日本歯科医師会副会長/岩手県歯科医師会会長)が基調講演を行い,その後3名のシンポジストが登壇.髙橋 綾氏(岩手県歯科医師会口腔保健センター委員/あや歯科医院院長)は「岩手県立中部病院と地域歯科医師会の医科歯科連携-歯科のない病院との医科歯科連携と新型コロナウイルスの影響-」と題し,医科歯科連携の取組みを具体的に紹介.澤口眞規子氏(公益社団法人岩手県栄養士会会長)は「“食べる”を支える多職種連携と地域サポート」と題し,栄養士会の取組みを紹介したうえで,歯科医療従事者には高齢者施設でのミールラウンドに積極的に介入し,唾液の分泌量や飲み込みの機能などに関わってほしいと提言.鬼原英道氏(岩手医科大学歯学部補綴インプラント学講座特任教授)は「訪問歯科診療におけるインプラントケアを考える」と題し,歯科訪問診療におけるインプラント治療の調査およびセルフケアを行えない状況を報告し,要介護者のインプラント対応を考えていくことが急務であると提言.理想的な地域包括ケアシステムが実施されている岩手県の事例について会場内から称賛の声があがった.
左から佐藤 保氏,髙橋 綾氏,澤口眞規子氏,鬼原英道氏
 なお,日本歯科医療管理学会は,学会が編纂している『新版 歯科医療管理』(医歯薬出版)を発行しており,歯科医療管理に関する基本的事項,歯科医療安全,医療連携及び地域包括ケア,かかりつけ歯科医機能の強化等々,歯科医療管理の分野における必要事項をすべて網羅した書籍を出版しており,同学会認定医のテキストにもなっている.
 リスクをしっかり“管理”することで参集型の開催が可能なレベルになっていると判断し,長い時間失われてきた対面での“出会い”や“再会”という貴重な機会を取り戻すため,執行部内で十分に協議を重ねたうえで現地開催を決定した本学術大会.懇親会は開催できなかったものの,これまでの空白の時間を埋めるべく,会場内での積極的な質問や情報交換等,貴重な時間を惜しみなく使っていた光景を目の辺りにし,対面でのコミュニケーションの重要性を再認識した.
 次回,第64回学術大会は,2023年7月16日(日)~17日(月・祝),岐阜にて開催予定(大会長:山内六男氏).
開運橋から眺める岩手山

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