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第71回日本口腔衛生学会・総会 開催される
 2022年5月13日(金)~27日(金),標記大会が「進取の気風で切り拓く口腔衛生の未来」をテーマにオンライン開催された.(大会長:於保孝彦氏.鹿児島大)
大会長:於保孝彦氏(鹿児島大)
 シンポジウム1「WHOの口腔保健の決議を受けて:学術的視点から考えるフッ化物応用」(座長:三宅達郎氏.大歯大,廣瀬晃子氏.朝日大)では,4名の演者が登壇した.
 「ポピュレーションアプローチは格差を拡大するは正しいのか? 重要な公衆衛生理論をフッ化物応用で再考する」で登壇した相田  潤氏(医科歯科大)は,予防医学において重要な「原因の原因」の概念を提唱したRoseのポピュレーションアプローチについて言及し,本当に健康格差を拡大するものかどうかについて検討した.「水道水フロリデーションを自然実験した口腔と全身の因果関係推論研究」で登壇した松山祐輔氏(医科歯科大)は,個人的な要因に依らずに齲蝕予防の恩恵を受けられる水道水フロリデーションについて,口腔と全身の健康に関する関係性を明らかにした研究を紹介した.「日本における集団フッ化物洗口の成人への効果:弥彦研究から」で登壇した濃野 要氏(新潟大)は,1970年に新潟県弥彦村で開始されたフッ化物洗口を例に,調査結果の解析や研究の解釈を述べた.「医療経済面から見たフッ化物洗口効果」で登壇した竹内研時氏(東北大)は,わが国で普及している児童・学童期における集団フッ化物洗口について費用対効果を分析し,齲蝕予防だけではなく歯科医療費削減に繋がっている可能性についても検討した.
 シンポジウム3「生活習慣病対策と歯科口腔保健~コモンリスクアプローチとデータヘルスの観点を中心に~」(座長:安藤雄一氏.国立保健医療科学院,佐々木 健氏.上川保健所)では,3名の演者が登壇した.
 「生活習慣病予防対策におけるデータヘルスへの取り組み」で登壇した鈴木 淳氏(仙台市宮城野区保健福祉センター家庭健康課)は,仙台市国民健康保険被保険者(40~64歳)18,407名を対象とした咀嚼機能とメタボリック・シンドロームの関連性を「見える化」し,指導へ繋げていく保健事業の展開方法を紹介した.「スナッキングカードによる間食の見える化と生活習慣予防への活用の可能性」で登壇した文元基宝氏(大阪府)は,食事日誌よりも対象者にとって負担の少ない教材としてスナッキングカードを開発した経緯を語り,その使用方法と効果を紹介した.「生活習慣病対策の場としての歯科診療室」で登壇した深井穫博氏(埼玉県)は,NCDs予防が健康寿命延伸と社会保障制度安定の最優先課題の一つであることを示したうえで,埼玉県で2019年度より始まっている歯科医療機関による特定保健指導の実践について話した.
 シンポジウム5「ユニバーサル・へルス・カバレッジ達成のためにアジア諸国での高齢者口腔保健をどう推進するか? ~日本の経験をアジア諸国へ~」(座長:小川祐司氏.新潟大)では,4名の演者が登壇した.
 「西太平洋地域におけるHealthy Ageingにて必要とされる口腔健康推進」で登壇した原田有理子氏(WHO)は,WHO西太平洋地域事務局(WPRO)において取り組まれている,口腔保健の重要性の認知向上に向けたアドボカシーや,歯科診療の保険適応を目指すうえでの費用対効果分析について話し,日本の歯科界がアジア・太平洋地域に対して貢献できる点を語った.「アジア地域における高齢者の口腔の健康と機能の把握方法」で登壇した岩﨑正則氏(東京都健康長寿医療センター研究所)は,タイを中心としたアジア地域において高齢者を対象とした口腔と全身に関する疫学調査を検討し,その成果と問題点について話した.「支援が必要な高齢者への口腔健康サービスを考える」で登壇した遠藤眞美氏(日大松戸)は,要介護高齢者の口腔機能の維持の重要性を示したうえで,トンガ王国で現地歯科医療者とともに実践してきた口腔健康サービスを紹介した.「人生100年時代の口腔保健推進への産業界の取り組み」で登壇した髙世尚子氏(サンスター財団)は,オーラルフレイルの認知拡大と予防促進のために同社が開発したアプリケーションを紹介し,企業が生活者の口腔保健推進のために貢献できる取り組みについて紹介した.

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