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熊本デンティストミーティング(KDM)40周年記念発表会
3月20日(日),熊本城ホールにて,熊本デンティストミーティング(KDM)40周年記念発表会が,オンライン併催にて220名の参加者のもと開催された(大会長:松田光正氏・熊本県).
メインテーマは「超高齢社会とどう向き合うか?」.咬合育成から欠損補綴まで,各ライフステージにおいて開業歯科医に求められる歯科医療の姿を検証するプログラム構成のもと,白熱した議論が展開された.

Section1「KDMで取り組んだ臨床統計」(座長:林康博氏・熊本県)では,同会が行ってきた「仮説と検証」の経緯を紹介.特に,インプラントの生存率に関する統計データをはじめ,開業歯科医の集団からの発信として稀有な報告と評価されている点を強調.また林氏は,メインテナンスの効果に関する臨床統計を例に,臨床統計と自身の臨床との関係性について言及した.
Section2「将来難症例を作らないための永久歯列完成への取り組み」(座長:出口大平氏・熊本県)では,5名の会員が,小児期の咬合育成から,永久歯列完成後の矯正治療まで,さまざまな実践を紹介.形態の改善と機能の改善との関係,早期かつ最小の介入が最大の予防効果となることなどが,実際の症例報告により提示された.
Section3「歯周病罹患歯の保存により歯列や咬合の安定を図る」(座長:東克章氏・熊本県)では,歯の保存はすなわち歯根膜機能の保存であるとの前提のうえで,自家歯牙移植や再生療法,歯周補綴の長期経過報告まで,さまざまな手法により歯列の連続性と咬合機能の維持を図った実例が8名の会員より報告された.
Section4「KDMが考える欠損歯列と欠損補綴への取り組み」(座長:永田省藏氏・熊本県)では,欠損歯列における歯列改変のアプローチについてディスカッション.松田氏により,同会が欠損歯列と向き合ってきた40年の歴史に言及し,歯列改変の方針としての「改変せず/足す改変/引く改変/移す改変」のそれぞれへの思いを提示.続いて10名の会員により,さまざまな欠損改変の実際が紹介された.永田氏は,なかでも歯列の左右対称性,上下顎のバランスの喪失が欠損歯列の進行に深くかかわることを示し,その際のキーワードが上顎前歯の保存にあると強調.上顎前歯を守ることが欠損歯列の予後の分岐点であるとした.

プログラムを通じ,同会での活動の柱が,「記憶より記録」「経過観察」「仮説と検証」の3点にあることが随所に示され,40年の蓄積が余すところなく披露された1日となった.

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