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「関東歯内療法学会 第20回学術大会」開催される
 2月6日(日),標記学術大会が「改めて見直す歯根膜の力 ~移植の基礎から臨床まで~」をテーマに,オンラインで開催された(大会長:澤田則宏氏・東京都開業).

 第一講演では,鈴木賢策賞受賞講演として石崎秀隆氏(長崎大)が,留学中のドイツより講演した.テーマは「穿孔の予防や診断,および治療を成功に導くKey Point」とし,穿孔が生じる処置場面やタイミング,穿孔状況や穿孔部位による対応方法などを,文献や自身の症例を元にまとめた.穿孔が生じた際は即時封鎖が最善であり,陳旧性のものに対しては歯周ポケットや根分岐部病変が現れる前に止血,感染源除去,除菌といった封鎖処置を行うことで,良好な経過が期待できるとした.また,各歯種の解剖学的形態を把握し,術前X線診査を十分に行うことが重要とまとめた.

 第二講演では,「歯根膜の特性と機能」と題し,下野正基氏(東歯大 名誉教授)が登壇,歯の移植・再植を成功させるためにおさえておくべき,歯根膜の特性・機能をまとめた.歯の移植時は,歯根膜の幅径は根中央部で狭くなっていることから挫滅・剥離に注意すること,抜歯サイドの歯根膜は抜歯窩サイドの歯根膜よりその後の経過に重要となることから,抜歯後の歯根膜を適切に保持する重要性(pHや浸透圧の点で,専用溶液よりも牛乳での保存が勧められることを強調)等を病理学的観点から詳説した.

 第三講演では下地 勲氏(東京都開業)が「歯根膜の機能を活用した外科的歯内療法」をテーマに,自家歯牙移植・再植を中心に臨床における歯根膜活用例について,豊富な臨床例を元に解説した.歯根膜組織の生物学的特性を理解すると,想像以上に優れた臨床効果が認められることが長期経過症例から示され,昨今の,保存できる可能性が高いと考えられる歯の安易な抜歯およびインプラント処置に対し,警鐘を鳴らす場面もあった.

 3つの講演後には質疑応答の時間が設けられ,活発な議論が展開された.次回講演会は,本年夏に開催予定.

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