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第12回日本歯科衛生教育学会学術大会 開催される
2021年12月17日(金)~24日(金),標記大会が「北海道!でっかいどう!多様化する社会を見据えた歯科衛生教育」をテーマにWEB開催された(大会長:岡橋智恵氏・北海道医療大学歯学部附属歯科衛生士専門学校).
特別講演「障がい児・者への対応と工夫 〜 歯科衛生士に求められるもの〜」では梶 美奈子氏(北海道医療大学病院)が障害者歯科と臨床業務について解説した.障害を抱える人たちへの歯科診療とは,患者さんとその家族について何に配慮し,どのような工夫が必要かを考えて実践することであるとし,障がい児・者についての基礎知識と,その具体的な対応方法について自らの症例に基づく試行錯誤を紹介した.また,歯科衛生士に求められているものについて自身の考えを述べ,衛生士教育に関わる方々に敬意を表した.
教育講演Ⅰ「歯周治療における歯科衛生士の役割」では古市保志氏(北海道医療大学歯学部)が健康寿命と歯科医療,歯周治療における感染コントロール,歯周病と全身の健康,多職種連携教育について講演を行った.
まず,健康寿命の延伸に伴い歯周病患者が高齢化しており,全身の健康への影響にも注意していく必要があると述べ,口腔衛生指導と歯肉炎について数多くのエビデンスを報告.歯科衛生士が歯周治療において大きな役割を果たしている旨を強調した.
続いて,歯周病が全身の健康に与える影響について概説.糖尿病をはじめとした全身疾患を有する患者に対して,歯周治療を行った際の研究結果について報告した.
最後に,地域包括ケアシステムの実現に向けて,口腔保健管理の専門家として歯科衛生士の果たすべき役割は大きいとし,歯科衛生士養成校においては,今後より一層,多職種連携教育の充実が求められていると述べた.
他にも山田 律子氏(北海道医療大学看護福祉学部)が「コロナ禍における認知症高齢者の食支援と歯科衛生教育の重要性」について, 稲垣 幸司氏(愛知学院大学短期大学部)が「歯科衛生士教育に従事する歯科衛生士に求められる倫理的配慮」について講演を行った.
シンポジウムでは「広域災害時における実践と課題 ─ それぞれの立場から」をテーマとし, 花岡 洋一氏(北海道医療大学歯学部)が「災害時医療における法歯学の役割」を,越野 寿氏(北海道医療大学歯学部)が「災害時における歯科医療の責務」を,川平 景子氏(札幌医学技術福祉歯科専門学校)が「広域災害発生時に対応しうる知識と技能について~歯科衛生教育に求めるもの」をそれぞれ語った.
花岡 洋一氏は,大規模災害時での個人識別における歯科的所見の有用性について述べた.災害時における身元確認作業の根拠となる法歯学の意義について解説し,日航ジャンボ機墜落事故や東日本大震災での自身の経験を提示しながら,歯科医療従事者としての責務について言及.さらに,災害時での個人識別を円滑に行うためには,歯科医師と歯科衛生士の連携が必要であることを強調し,講演を締めくくった.
越野 寿氏は,北海道南西沖地震や,東日本大震災での支援経験を踏まえて,歯科的救護活動の課題と展望について述べた.両地震とも高齢化が進行している地域で発生したという共通点があるものの,発生時刻により義歯装着者に占める義歯紛失者の割合に大きな差異があったと指摘.新義歯製作による被災者の咀嚼・外観・発音・全身状態などの改善点や,誤嚥性肺炎を防ぐための口腔衛生環境の整備について紹介し,災害時での歯科的支援活動の重要性を訴えた.
川平 景子氏は,災害支援を行える歯科衛生士の育成を志す契機となった,北海道胆振東部地震での支援活動を提示しながら,教育現場における課題と展開を紹介した.他職種との連携を通じた歯科衛生士の保健活動を推進していくことが肝要であると強調.在学生のみならず,卒後教育においても災害支援を継続的に学べる環境を提供していくと述べ,今後の歯科衛生士教育への展望に言及した.
その他,多くの講演,ポスター発表が行われた.次回第13回大会(大会長:山田小枝子氏・朝日大学歯科衛生士専門学校)は2022年12月3~4日,朝日大学にて開催予定.

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