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火曜会65周年記念講演会 開催される
2021年11月13日(土),14日(日),一橋講堂(東京都千代田区)にて,火曜会65周年記念講演会「経過観察と個別対応―明日の臨床と患者との未来を築くために―」が開催された(Doctorbookオンライン配信併催).
同会の歴史のなかで議論が続けられてきた4つのテーマについて,会場・オンライン合わせ約500名の参加者のもと、2日間にわたり19の演題が展開された.

第1部「経過から考える補綴臨床」では,火曜会65年の議論の骨格をなす欠損補綴がテーマ.金子一芳氏(東京都)は,さまざまな補綴手法を検証された道のりを紹介するなかで,特にテレスコープ義歯の経過から,欠損補綴の要諦を考察.中舘正芳氏(静岡県)は,現在の同会において欠損歯列評価のコンセンサスとなっているKA367の内容を解説.設楽幸治氏(東京都)は,特に4犬歯の存在に着目した欠損歯列の評価について4症例の経過より解説.中村一寿氏(神奈川県),村埜啓真氏(静岡県),若松尚吾氏(東京都),西島泉氏(東京都)は,それぞれ欠損補綴の一例報告を行い,いずれも顎位や咬合挙上の妥当性,欠損改変の是否等を,テンポラリーレストレーションを用いて丁寧に検証する臨床姿勢を強調した.筒井純也氏(東京都)は,すれ違い咬合症例への対応について言及.義歯安定のためのKeytoothの評価とインプラント活用の実際について考察した.

第2部のテーマは「患者の個体差から診る歯周病治療」.千葉英史氏(千葉県)は,個体差から歯周病患者の特徴を捉え,進行性と回復力を秤にかける歯周病天秤にて症例の流れを把握する臨床対応の実際を紹介.鷹岡竜一氏(東京都)は,歯周病の診断における未来予測の困難性を指摘したうえで,歯周病の治りやすさと連結固定の是否との関係を中心に,歯周病との向き合い方を考察した.今村亮祐氏(長野県),鎌田征之氏(東京都)は重度歯周病症例への対応を報告.歯周病治療においては,進行性と回復力の見極めが重要であることが強調された.斎田寛之氏(埼玉県)は,歯周病治療における従来法歯周外科と再生療法との棲み分けについて,よりシビアな条件の下での再生療法の適用こそが求められると提言した.

第3部のテーマは「歯根膜移動が広げる明日の臨床」.甲田和行氏(東京都)は歯根膜移動の概念を紹介し,歯牙移植および歯牙移動の臨床例を,自院の臨床成績とともに報告.林直也氏(東京都),江尻健一郎氏(東京都)は,歯根膜移動による咬合支持獲得および病的歯牙移動改善の報告を行った.中村輝夫氏(神奈川県)は,上顎埋伏智歯の挺出や移植の実際を,さまざまな臨床手技と合わせて解説.最後に松井宏榮氏(神奈川県)が,歯根膜移動を成功させるための要因を,症例報告とともに整理された.

第4部「人の成長発育と高齢化にあわせた歯科医療」では,須貝昭弘氏(神奈川県)が登壇.「一人の患者と永くかかわる」ことが他科にはない歯科の特徴であるとし,特に小児期の患者とのかかわりがその基礎となることを,豊富な臨床例より提言された.まさにメインテーマである「経過観察と個別対応」の重要性を再度確認する形で,本講演会の幕が下りた.


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