2021/11/11
11月10日(水),HILIFE DENTURE ACADEMY Online Salonが主催する標記ウェビナーが「前後すれ違い症例の対応を考える~難症例を成功させるためのポイント~」をテーマに開催された(メインパーソナリティ:松田謙一氏/大阪府).
和田淳一郎氏(医科歯科大)は「臼歯部咬合支持を効果的に回復するポイント」と題し,前後すれ違い咬合が難症例となる理由として,顎堤吸収や咬合平面の乱れ,受圧/加圧の不調和,義歯にかかるせん断応力など有床義歯の治療を困難にする条件のほぼすべてが含まれている点を指摘.対応策として,臼歯部咬合支持を回復することや,せん断応力に対する構造設計の強化,メタルフレームを組み込んだ咬合床の利用,適切なタイミングでのリラインをあげた.
荻野洋一郎氏(九大)は「臼歯部咬合と前歯部構造の強化」と題し,まずはすれ違い咬合の一歩手前ともいえる片側・両側遊離端欠損の時点で欠損の拡大を予防することが重要と解説.そのうえで,前後すれ違い咬合症例においては臼歯部での咬合を確立し,上顎前歯部への咬合力(アンテリアハイパーファンクション)をコントロールすること,前方遊離端欠損部に対しては義歯の剛性を高め,義歯の動きを止めるための設計を考慮することが必要性と述べた.