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2021年度 関東甲信越歯科医療管理学会総会・第27回学術大会開催される
 11月3日(水)~11月27日(土),昨年に続きWeb開催にて,標記総会・学術大会(大会長:赤井淳二氏/ららぽーと歯科)が,「コロナ禍における歯科医療管理を考える~安全・安心な医療提供をめざして~」をテーマに開催された.
 特別講演では,「感染症の基礎と歯科医療スタッフにおける予防対策の実際」をテーマに泉福英信氏(日本大学松戸歯学部感染免疫学講座)が登壇.COVID-19のメカニズムのほか,日本国内だけでなく,世界各国のワクチン摂取率と感染者数の推移,そして令和2年度の厚生労働科学特別研究事業「新型コロナウイルス感染症等と口腔内状態及び歯科保健医療の関係性の検証のための研究」を報告.口腔内の組織にはSARS-CoV-19が侵入する重要な役割を果たしているが,COVID-19の感染や重症化との関連性の科学的根拠は乏しいことも判明したこと,口腔保健の効果を過剰に捉えることは誤解を招く懸念はあるものの,口腔健康管理は歯周病予防や誤嚥性肺炎の予防などにつながることは間違いないことを解説.
泉福英信氏
 シンポジウムでは,「新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおける歯科医療 現場での安全・安心な対応策を現場ではどうしているか」をテーマに4名のシンポジストが登壇.有川量崇氏(日本大学松戸歯学部衛生学講座)は,「COVID-19を防ぐ歯科診療の基本」として,口腔内バキューム・口腔外バキュームの飛散物・エアロゾル発生抑制効果について検証し報告.歯科衛生士の立場からは「新型コロナウイルス感染症発生後の歯科衛生士としての対応と課題 歯科保健医療において歯科衛生士と安全・安心を届けるために」として,吉田直美氏(東京医科歯科大学大学院口腔健康教育分野/公益社団法人日本歯科衛生士会)が登壇.歯科衛生士は感染リスクが高い職業という根拠のない漠然とした情報による不安を抱えている会員が多かったため,感染症予防歯科衛生士会講習会を日本歯科衛生士会として実施し,正しい知識の普及に努めたこと,さらには物品等の入手困難や情報共有の困難による不安については,日本歯科衛生士会のホームページ上で対応策や解決策を公開したことを紹介.歯科技工士の立場からは,「歯科技工にまつわる感染予防~経過と課題から」として,下澤正樹氏(公益社団法人日本歯科技工士会)が登壇.印象材をタンパク除去したあと流水で2分以上流すことや,可能なものは超音波洗浄を行うことなど,微生物ゼロ追求か無体策化ではない,継続できる実践策を紹介.最後に「最新の制度改革の動き等から適切な歯科医療管理の在り方を考える」として,上條英之氏(東京歯科大学歯科社会保障学)が,歯科医療現場での安全・安心な対応を図るための方策について触れた.2021年5月の世界保健総会では,歯科口腔保健に関する世界保健総会決議(一部抜粋)~より良い口腔ケアへの道が開かれるために~において,歯科口腔保健サービスによる対応はSDGsを進めるのに必要なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・プログラム〈UHC〉に含まれること,2022年~2023年までにWHOが検討する歯科口腔疾患への取り組みに関する世界戦略の草案を作成することが採択されたことを報告し,歯科医療従事者がこれからどのようにかかわるべきか提言した.
有川量崇氏
吉田直美氏
上條英之氏
 長引くCOVID-19の影響を歎じるだけにとどまらず,国民が望む安心・安全な歯科医療を提供するために,歯科医療従事者として,どのように在るべきか,未来に向かって進んでいることを実感した学術大会であった.

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