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日本歯科衛生学会第16回学術大会開催される
 9月18日(土)~9月30日(木),標記学術大会(大会長:晴山婦美子氏/岩手県歯科衛生士会会長)が,「新しい日常を支える口腔健康管理」をテーマにWebにて開催された.
 2011年3月の東日本大震災から10年となる2021年,再び岩手の地での開催となったが,新型コロナウイルス感染症拡大という世界規模の「災害」により,本学会初めてのWeb開催の運びとなった.大会長の晴山婦美子氏のほか,令和3年7月から就任した日本歯科衛生学会学会長の吉田幸恵氏,そして日本歯科衛生士会会長の吉田直美氏の挨拶から始まり,特別講演,教育講演,リレー講演,他学会共同企画,研究討論会等,充実したプログラムが組まれた.
晴山婦美子氏
吉田幸恵氏
吉田直美氏
 特別講演2「歯科衛生士が知っておくべきCOVID-19の知識」では,寺嶋毅氏(東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科)が登壇.連日,話題にのぼらないことはないまさに現在進行形のテーマではあるが,巷には正しくない情報もあふれている.信頼できる根拠あるデータを示してマスクの必要性,ワクチンの有効性などを詳細に紹介した.
 教育講演「歯科衛生士教育における臨床実習」では,鳥山佳則氏(東京歯科大学短期大学)が登壇.臨床実習については,違法性阻却の公的裏付けがないこと,さらにコロナ禍において教育現場では困難を極めている現状がある.2021年5月に歯科医師法改正案が成立し,共用試験に合格した歯学生が臨床実習として歯科医業を行うことができる旨が明文化(2024年4月1日施行)されたことを紹介し,歯科衛生士教育においてもモデル・コア・カリキュラムを有志で策定し,文部科学省・厚生労働省との関係性の確保をしていくことを目指していること,それには関係者の自主的な取り組みが必須であると提言した.
鳥山佳則氏
 リレー講演「災害歯科保健-東日本大震災から10年間の実践とこれからの方向性-」(座長:中久木康一氏/東京医科歯科大学救急災害医学分野)では,晴山婦美子氏,久保山裕子氏(日本歯科衛生士会),大黒英貴氏(岩手県歯科医師会),中久木康一氏,岸光男氏(岩手医科大学歯学部)の5名が登壇.それぞれの立場から,この10年間の取り組みと今後の課題について発表した.なかでも,臨床に関わっている歯科衛生士も地域保健に関わっている歯科衛生士も災害時の歯科保健活動において差はなく,「基礎に基づき臨機応変に対応できる歯科衛生士」が求められるという言葉が心に響いた.
リレー講演の様子(左から岸光男氏,大黒英貴氏,久保山裕子氏,晴山婦美子氏,中久木康一氏)
 研究討論会「はじめよう!歯科衛生研究ことはじめ-日々の臨床の中でできる研究-」(日本歯科衛生学会編集委員会:松田悠平氏,伊藤 奏氏)では,視聴者がチャットで参加するZoomによるLIVE配信という相互形式の初の試みが行われた.日常の現場を研究のフィールドとした3名が登壇.糸田彩佳氏(鹿児島大学)は鹿児島大学病院の“息リフレッシュ外来”に来院する患者さんを対象に「仮性口臭症や口臭恐怖症の患者の口腔保健状況に関する後ろ向き研究」を,戸倉詩織氏(東京歯科大学大学院生)は大学院生でありながらも自らが興味・関心をもったことをテーマにして「頭頸部がん化学放射線療法中の口腔粘膜炎に対する半夏瀉心湯の含嗽による有効性の検討」を,泉野裕美氏(梅花女子大学)は管理栄養士との共同で「統合失調症患者における肥満と口腔機能との関連」を発表.研究をするにあたり,論文の検索方法やテーマの選び方など,誰もがもつさまざまな疑問や知りたい点を,チャットで活発に意見交換した.通常の発表形態よりも気軽に参加できたという参加者の声も聞かれた.
 平常時においても,災害時においても,口腔健康管理の必要性が認識され,その役割を歯科衛生士が担うことが明白となってきている. 新型コロナウイルス感染症の流行,及び毎年のように発生する災害を体験するなか,今年6月に他界された日本歯科衛生士会前会長武井典子氏の志を継ぎ,他職種と連携して専門職として何ができるのか,今何をすべきなのか,考え,そして行動する歯科衛生士となるべく,全国各地に所属している学会員がWebというメリットをいかし,自分たちの使命をあらためて見直す有意義な時間となったのではないだろうか.次回,第17回学術大会は,2022年9月17日(土)~19日(月・祝),徳島にて開催予定(大会長:河野美枝子氏).

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