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深井保健科学研究所 第20 回コロキウム 開催される
 9月19日(日),標記オンライン学術大会が「健康格差縮小のための口腔ヘルスサービスへのアクセス ―そのバリアをどう取り除くかOvercoming barriers to oral health service access for closing health disparities」をテーマとして開催された.(大会長:深井穫博氏,深井保健科学研究所)
 セッション1「歯科受診・受療行動の実態と格差」(座長:恒石美登里氏(日本歯科総合研究機構))では,2名の登壇者が発表した.「歯科受診・受療行動の実態」の演題で講演した安藤雄一氏(国立保健医療科学院)は,検診(健診)に関わる法制度や受診率の実態を俯瞰したうえで,歯科医院側の取り組みも患者の行動変容に影響があると強調した.講演「日本の歯科受診の現状と格差」では,相田 潤氏(医科歯科大)が,受診率が社会的要因によって決定されている点を指摘し,格差解消が歯科医療アクセスに繋がることを示した.
 セッション2「医療保険・介護保険制度における歯科受診・受療」(座長:嶋崎義浩氏(愛院大))では,2名の演者が発表した.「高齢期の口腔の健康状態による介護医療費格差」の演題で登壇した竹内研時氏(名古屋大)は,歯数減少が認知症に関連する医療費増加と関連がある可能性を示したうえで,高齢者の残存歯数と累積介護費用との関連について述べた研究結果を紹介した.講演「定期受診アクセスの現状と定期受診のバリアについての考察」では,古田美智子氏(九大)が歯科医院への定期受診行動を抑制・阻害する因子について,個人的要因以外の観点から考察した.
 セッション3「健康政策と歯科医療」(座長:内藤真理子氏(広大), 遠藤眞美氏(日大松戸))では,3名の演者が発表した.講演「全国がん医科歯科連携事業によって,がん患者の歯科アクセシビリティは改善されたか?」では,上野尚雄氏(国立がん研究センター中央病院)が,医科歯科連携によってわが国のがん患者の口腔ケアが向上しているとしつつも,地域格差などの課題が残る現状を報告した.「地域連携によるがん患者への歯科医療アクセス向上」で登壇した百合草健圭志氏(静岡がんセンター)は,全病院数に占める病院歯科の割合が2割程度である現状を示し,かかりつけ歯科診療所との協力体制の構築によるがん患者への適切な口腔サポートへの期待を述べた.講演「地域の介護予防・フレイル予防における口腔ヘルスサービスへのアクセスをどう向上するか」では,渡邊 裕氏(北大)が,近年オーラルフレイルや口腔機能低下についての研究成果が与えた影響を振り返りつつ,保健事業と介護予防の一体的実施について考察した.
 セッション4「コロナ禍の歯科受診・受療行動」(座長:福田英輝氏(国立保健医療科学院))では,2名の演者が発表した.「コロナ禍の歯科受診の関連要因と歯痛」との演題で登壇した松山祐輔氏(医科歯科大)は,コロナ禍における歯科受診抑制と歯痛の関連,あるいは受診抑制の因子について,全国規模の調査から考察した.講演「実測データを利用した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と歯・口腔の健康の関連」では,岩崎正則氏(東京都健康長寿医療センター研究所)が,コロナ禍において歯科の定期管理を中断することによってもたらされる影響について,福岡県内の高校生や成人を対象に実施した疫学調査の結果から報告した.

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