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第64回春季日本歯周病学会学術大会 開催される
 5月21日(金)~6月22日(火),標記大会が「今,求められる歯周治療~研究から臨床へ~」をテーマにオンライン開催された.(大会長:八重柏 隆氏(岩医大))
 特別講演Ⅱ「令和の歯周病学は炎症消退を通して全身の健康に寄与する〜糖尿病・認知症領域から歯周病が注目される時代の到来〜」では,西田 亙氏(愛媛県)が“研究の国力”を個人的に解析した西田式National Citation Indexをもとに基礎研究の重要性に言及しつつ,内科医の立場から炎症制御の観点で歯周病研究が全身の健康に通じるという見解を示した.  
 糖尿病についてはEuroPerio9における歯周病のグレード分類にHbA1cとCRPがともに入っていることをあげ,CRP定量が一定以上の人に歯周基本治療を行うとCRPが下がることを紹介した.
 また,2019年1月に発表されたアルツハイマー病患者に対してジンジパイン阻害薬が有効である可能性を示唆する論文を紹介し,認知症予防と歯周病治療に重なりがあるとして,今後の歯周病学への期待を語った.
 韓国歯周病学会(KAP)代表講演「韓国の高齢者でみられる歯の喪失とフレイルとの関連性:韓国のフレイルコホートおよび介入研究での歯科領域の結果」(座長:小方賴昌氏(日大松戸)では,Yeek HERR氏(慶熙大)が,全身と口腔の健康状態の関連性を示す研究が近年多く報告されるようになった韓国の状況について発表した.
 報告によれば,フレイルになるほど歯の喪失数が増えるものの,全身の健康との関連性は先行研究と必ずしも一致しないという結果が示された.しかし韓国においては,全身と口腔の関連性についての研究には蓄積がないため,今度の研究への期待を膨らませた
 シンポジウムⅠ「リグロス®の創薬から育薬への過程を再考する」(座長:村上伸也氏(阪大))では,3名の演者が登壇した.
 「リグロス®の有効性と課題―市販後5年の経緯を経て学んだこと―」の演題で登壇した村上氏は,2016年11月の薬価収載から販売実績が5年を迎えたリグロス®について,プラセボ群よりも優位に歯周組織再生療法に寄与している点などを紹介しつつも,課題にも言及し,今後に対する継続的な「育薬」の展望を語った.
 「リグロス®を用いた歯周組織再生療法」の演題で登壇した小方氏は,リグロス®の適応症を確認し,実際の臨床において注意すべき点などについて検討した.
 「リグロス®に代表される産学連携製品の歯周インプラント治療への応用」の演題で登壇した高井康博氏(広島県)は,リグロス®の適応症ではないものの,当該薬品がインプラント治療における骨造成術に使用された症例を紹介し,今後の展望について述べた.
 シンポジウムⅡ「健康寿命延伸への歯周病学的アプローチ」(座長:八重柏氏(岩医大))では,3名の演者が発表した. 
 「健康寿命の延伸に向けた歯科医療からのアプローチ」の演題で登壇した小林琢也氏(岩医大)は,歯の喪失が全身に与える影響についてエビデンスに基づいて検討し,ことに高齢者において,予防リハビリテーションの枠組みのなかで歯科医療が何を提供できるのかについて示した.
 「パーキンソン病と歯周疾患」の演題で登壇した前田哲也氏(岩医大)は,高齢者の全身状態と口腔衛生の密接な関係が広く理解されている日本においてさえパーキンソン病と口腔衛生についての研究は少ないことを指摘し,パーキンソン病患者の歯周疾患についてデータや症例から検討した.
 「栄養状態の維持を視野に入れた歯・口腔機能維持の意義:低栄養診断と管理栄養士との連携の重要性」の演題で登壇した遠藤龍人氏(岩医大)は,日本人の栄養状態を歴史的に俯瞰し,現在が低栄養(高齢者)と過剰栄養(中年)の混在するステージであることを指摘したうえで,高齢者の蛋白・低エネルギー状態を予防するために,歯科治療と並行して管理栄養士が栄養指導を行う連携体制の構築が急務であると強調した.

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