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日本補綴歯科学会 第130回記念学術大会 開催される
 6月18日(金)~20日(日),標記学会が「食力向上による健康寿命の延伸―補綴歯科の力を示す―」をメインテーマに掲げてWEB開催された(大会長:水口俊介氏・医科歯科大,準備委員長:金澤 学氏・医科歯科大)(オンデマンド配信期間:6月26日(土)~7月4日(日)).
▲開会を宣言する水口氏
 理事長講演「補綴の矜恃」(座長:大川周治氏(明海大))では,新理事長の馬場一美氏(昭和大)によって,同学会がもつエビデンスの蓄積によってどのように歯科医療や社会に貢献できるかの展望が語られた.
 また新理事長の馬場氏と歴代の理事長経験者が議論を交わす「第130回記念パネルディスカッション-補綴歯科の力を示す-」(座長:水口俊介氏)では,佐々木啓一氏(東北大),古谷野 潔氏(九大),矢谷博文氏(阪大),松村英雄氏(日大),市川哲雄氏(徳島大),大川周治の6名とともに栄養,審美性,マテリアル,他学会との連携など多岐にわたるトピックについて活発な意見交換がなされた.
 海外特別講演「Adhesive luting protocols of indirect restorations」(座長:水口俊介氏)では,Bart Van Meerbeek氏(ルーベン大)によって,それぞれの審美修復材料における正しい接着手法などが示された.
 メインシンポジウム1「審美修復材料を極める―基礎から臨床まで」(座長:正木千尋氏(九歯大),小峰 太氏(日大))では,海外特別講演においてBart Van Meerbeek氏が示した審美修復材料を題材にして,それぞれ4名の演者が登壇した.
 「CAD/CAMレジン冠:日本から発信するメタルフリー治療」の演題で登壇した峯 篤史氏(阪大)は,基礎的研究の積み重ねによってCAD/CAM冠の接着技法が確立されつつあるとした.
 「二ケイ酸リチウムガラスセラミックス:デジタル時代の接着エビデンス」の演題で登壇した髙垣智博氏(朝日大)は,審美修復材料を使用した症例の検討から,予知性の高いガラスセラミックス修復における要点を説明した.
 「ジルコニア:マテリアルサイエンスから見た最新のエビデンス」の演題で登壇した猪越正直氏(医科歯科大)は,高透光型ジルコニアへのサンドブラスト,ジルコニアの高速焼成,混合組成マルチレイヤー型ジルコニア,付加製造ジルコニアのそれぞれの強度について検討し,展望を語った.
 「審美修復材料を活用した臨床:オールセラミック接着ブリッジの可能性を探る」の演題で登壇した大谷一紀氏(東京都)は,接着ブリッジの失敗と生存率などのデータから,患者の性格や欠損部位によって効果的な治療法が異なることを示した.

 メインシンポジウム2「多角的な視点から食力を考える」(座長:細川隆司氏(九歯大),大川周治氏)では,3名の演者が登壇した.
 「国家戦略としてのフレイル予防・オーラルフレイル予防~健康長寿の実現へ~」の演題で登壇した飯島勝矢氏(東京大)は,口腔機能低下症が2018年度より保険収載されたように,歯科においては“食べられない苦痛”に対する科学的アプローチが期待されていると述べた.
 「食べる幸せを支える歯科のサステナビリティ」の演題で登壇した米永一理氏(東京大)は,“食べる”を包括的に捉える学問体系を整えることの重要性を説明し,医科歯科連携や多職種連携は勿論,医市連携をも視野に入れた協力が必須であると強調した.
 「咀嚼機能と栄養・健康:われわれ補綴歯科医が発信しなければならないこと」の演題で登壇した池邉一典氏(阪大)は,一般に知られている歯周病などにくわえ,咀嚼と嚥下に対する口の不健康が重大な病気を引き起こすことについて一般社会へ広く伝えることの重要性を話した.
 シンポジウム1「パーシャルデンチャーデジタル化への現状と課題」(座長:若林則幸氏(医科歯科大),大久保力廣氏(鶴見大))では3名の演者が登壇した.
 「部分床義歯製作におけるフルデジタル・ワークフロー」の演題で登壇した西山弘崇氏(昭和大)は,今後の補綴治療においてはデジタルを前提とした床義歯治療のワークフローを確立することが肝要だと説明し,最終補綴装置装着後もデジタルデータを採得することが大切だと強調した.
 「デジタルデンティストリーのパーシャルデンチャーへの応用」の演題で登壇した田坂彰規氏(東歯大)は,デジタルデンティストリーの世界的動向を説明した後,パーシャルデンチャーにおける研究,臨床,教育のそれぞれの側面について展望を話した.
 「パーシャルデンチャーのデジタル化に関する文献レビュー」の演題で登壇した笛木賢治氏(医科歯科大)は,複雑な構造をもつパーシャルデンチャーのデジタル化に遅れがあり関連論文の少なさを指摘したうえで,印象採得や咬合採得におけるデジタル化の臨床上のメリットと課題を比較した.
 
 シンポジウム7「睡眠時無呼吸症の口腔内装置による治療」(座長:秀島雅之氏(医科歯科大),菅沼岳史氏(昭和大))では2名の演者が登壇した.
 「睡眠時無呼吸症の概要と検査について」の演題で登壇した奥野健太郎氏(大歯大)は,OSA患者の全身への重篤な影響を振り返ったうえで,これまで「食べる」ことへの治療のイメージの強い歯科が口腔内装置治療によって「寝る」ことを支える意義を話した.
 「口腔内装置の適応とその治療法について」の演題で登壇した槙原絵理氏(九歯大)は,OA治療とCPAP治療を比較検討し,安全で適切な治療のために術者が押さえておくべき知識や連携について語った.

 シンポジウム8 「アップデート咬合論」(座長:小野高裕氏(新潟大),小川 匠氏(鶴見大))では3名の演者が登壇した.
 「咬合論は咀嚼でアップデートする」の演題で登壇した中村健太郎氏(愛知県)は,健康長寿の延伸という目的達成のために咀嚼の回復改善が必須であるとし,患者本位の咬合論にアップデートすることの重要性を説いた.
 「咬合再構成治療に於ける客観的診査診断の重要性と咬合治療の可能性」の演題で登壇した吉見英広氏(東京都)は,咬合治療を行うことによって,自律神経の上位中枢である辺縁系の反応が改善する可能性を示唆した.
 「咬合治療のゴールを考える~歯周治療から顔貌の調和まで~」の演題で登壇した田中秀樹氏(福岡県)は,自身の症例を紹介し,さまざまな患者の要望に対して術者が行う咬合治療はその着地点をどのように設定するかが大切であることを説明した.
 医療問題検討委員会連携企画「前歯にも保険適用されたCAD/CAM冠の安全な使い方」(座長:疋田一洋氏・北医大,山森徹雄氏・奥羽大)では,まず新谷明一氏(日歯大)が「前歯CAD/CAM冠用ブロックの特徴と使い方」と題し,CAD/CAM冠用材料の保険導入の経緯や特徴・物性,適応症や適切な支台歯形態,接着術式,オペーク材による支台歯色への対応の必要性について述べた.
 吉田圭一氏(長崎大)は「前歯CAD/CAM冠の確実な臨床術式」と題して同大病院にて実施した前歯CAD/CAM冠の臨床的評価を示した後,安全な症例の選択や確実な接着操作が成功の鍵になる点を,実験結果や臨床例から示した.
 田上直美氏(長崎大)は「保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針2020」と題し,日本補綴歯科学会が策定した標題の指針を紹介し,保険算定時の注意点や咬合調整と装着(接着)の手順といった臨床家の疑問に答えた.
▲左上から時計回りに,山森氏,疋田氏,吉田氏,田上氏,新谷氏
 専門医研修会「補綴歯科専門医として身につけるべきコンピテンス(その3)日々の臨床にリサーチマインドを如何に連関させるか?」(座長:河相安彦氏・日大松戸,飯沼利光氏・日大)では,まず金澤氏が「症例から学ぶEvidence-Based Medicine(根拠に基づく医療)の基本」と題し,軟質裏層材の適用が考えられる無歯顎補綴症例を例にとって,PICOに基づく問題の定式化,PubMed等の各種データベースを活用したオンラインでの情報収集法とその批判的吟味,得られた情報の患者への適用,症例記録の重要性を述べた.
 次に鈴木秀典氏(関西支部)が「スタッフのリサーチマインドを育む取組み」と題し,自院の歯科衛生士とともに検討したインプラント周囲炎に関するClinical Question(CQ)の事例を紹介し,CQは臨床スタッフが自分の臨床で抱える疑問からも生まれるもので,その気づきがリサーチマインドを育む第一歩であるとした.
 中居伸行氏(関西支部)は「専門医としての開業医におけるEBMの実践」と題し,補綴治療はその多因子性ゆえにエビデンスの少ない領域であるが,その中で重要とされる論文(Classic literature)と補綴装置の生存率/成功率と合併症の発生率についての理解しておくことの重要性を指摘し,それを根拠に患者説明を行い,同意を得て予知性が高いと考えられる治療を提供することを提案した.
▲左上から時計回りに,河相氏,飯沼氏,金澤氏,中居氏,鈴木氏

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