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日本歯科先端技術研究所2020年度学術講演会 開催される

 3月7日(日),公益社団法人日本歯科先端技術研究所2020年度学術講演会が,「歯科におけるダイバーシティーを考える」をメインテーマに,Zoomウェビナーにて開催された(会長:野本秀材氏).

 午前の部では,「一歯欠損の治療戦略:多様化する治療選択肢とインプラントを取り巻く環境」(吉野晃氏/東京都開業),「歯科の専門性から歯科の在り方を考える:(一社)日本歯科専門医機構創設の意義と今後の展望」(今井裕氏/獨協医大,日本歯科専門医機構)の2題の講演が行われた.

 午後の部は,SDGsの第5の目標として明記されている「ジェンダー平等」の視点から,歯科界の現状と課題を整理する試みが行われた.
 市民公開講座「私達とSDGs」では,名取はにわ氏(日本社会事業大)が講演.ジェンダー平等に関する日本の現状を,世界ジェンダーギャップ指数をはじめとしたさまざまデータより詳説.特に意志決定の場におけるジェンダー平等が圧倒的に立ち遅れている現状を,我が国に根付く構造的な問題と指摘.法整備の現状と今後の課題を整理した.
 柳井智恵氏(日歯大)は「多様性を活かす専門分野における歯科医師の育成」と題し講演.専門医取得をめぐるジェンダー平等の壁について,日本口腔外科学会での取り組みのほか,各国の女性口腔外科医の環境を報告した.歯科業界だけでなく,行政,社会全体の取り組みが重要とし,女性リーダーの輩出が課題であろうと強調した.
 渥美美穂子氏(神奈川県開業)は,「ガラスの天井か?自由の翼か?」と題し,自身の経験からジェンダー議論の課題を指摘.ジェンダー不平等を放置したまま,個人の資質が評価される現状が,両者を混在させた議論を導いている危険性を指摘.ジェンダー議論の大前提としての本質的な問題点を鋭く提示した.
 立川敬子氏(医科歯科大)は,「女性の活躍推進に向けた大学および学会の施策」をテーマに講演.歯科医師としての女性のキャリアを阻む壁について言及し,東京医科歯科大学における女性キャリア登用システムを中心に,大学・病院と診療所のそれぞれの環境における課題を整理した.

 最後に,名取氏,柳井氏,渥美氏,立川氏,野本氏による座談会が行われ,それぞれの講演内容をさらに掘り下げての議論が行われた.柳井氏,渥美氏,立川氏は,WDAI(Women Dental Academy for Implantology)の中心メンバーでもあり,女性活躍推進の今後の継続的な活動への期待が参加者間で共有された.

 


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