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第25回日本口腔顔面痛学会総会・学術大会 開催される
 2020年11月22日(日),23日(月),標記学術大会が「つながる,つなげる,口腔顔面痛」をテーマにWEB開催された.(大会長;小見山 道氏・日大松戸)
 メインシンポジウム「象牙質知覚過敏から根管治療後歯痛まで,口腔顔面痛的再考」では,4つの講演が行われた.(コーディネーター;和嶋浩一氏(慶應大), 座長;松香芳三氏(徳島大),小見山 道氏)
 講演「歯髄・根尖歯周組織における炎症反応の特徴−象牙質知覚過敏から根管治療後歯痛との関連について」では,川島伸之氏 (医科歯科大)が登壇し,象牙質知覚過敏症と根尖性歯周炎それぞれに伴う痛みの特徴について解説し,原因として可能性のあるものに配慮した処置が必要だと強調した.次に清水康平氏(日大)が行った講演「歯内治療時に発現する説明困難な打診痛および咬合痛を,口腔顔面痛学的に再考する」では,患歯の特定および疾患の病態把握のために行う咬合試験や打診法について,その異常反応がでた際の原因をそれぞれのステージごとに解説した.石井隆資氏 (日歯大)は講演「非歯原性疼痛と歯原性疼痛が共存した一症例」のなかで,主訴以外にさまざまな疼痛の因子をもった症例について,除外診断に苦慮しつつ咬筋の圧痛を消滅させた経緯を紹介した.「知覚過敏,歯髄痛,異所性口腔顔面痛発症メカニズム」と題して行われた講演では,篠田雅路氏(日大)が歯髄炎によって生じる口腔顔面領域の侵害情報伝達系の可塑的変化と異所性疼痛との関連性などを解説し,痛みが起こるメカニズムを論じた.
 シンポジウムⅡ「Exercise is the best Medicine −口腔顔面痛緩和のための運動療法エッセンス」では,2つの講演が行われた.(座長;佐々木啓一氏(東北大),島田明子氏(大歯大))
 講演「口腔顔面痛に対する運動療法再考」では,島田明子氏 (大歯大)が,顎関節症について多職種連携医療や国際的標準化を考慮しながら,運動療法の選択について解説した.講演「慢性疼痛に対する運動療法戦略−口腔顔面痛緩和を目指す運動療法の探求−」で登壇した松原貴子氏 (神戸学院大)は,治療ターゲットとなる慢性疼痛の病態メカニズムの整理を行い,運動療法戦略について検討した.
 合同シンポジウム 「顎関節症に関わる3 つの分類,痛みの見地から ~顎関節症の診断基準(2019),ICOP(2020),ICHD3(2018)~」では,3つの講演が行われた.(座長;小見山 道氏,村岡 渡氏(神奈川県))
 講演「ICOP について」では,今村佳樹氏 (日大)が2020 年2 月に発表された国際口腔顔面痛分類(International Classification of Orofacial Pain:ICOP)について,その議論の変遷を紹介するとともに目的について解説した.「顎関節症の診断基準について」との題で登壇した依田哲也氏(医科歯科大)は,DC/TMD(Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders)が日本人に合致するように医療実態や文化に合わせて診断精度を向上させていく過程を解説し,痛みの診断を中心に顎関節症の診断基準(2019)を紹介した.講演「ICHD3 との違いについて  国際頭痛分類第3 版との違い,それぞれの意義や有用性,今後の展開について」では,井川雅子氏(静岡県)が,ICOPが原因別の分類を行っていることから従来の臨床的な分類や診断名と乖離している点を指摘し,同じく痛みの分類としてICOPが参考にしたICHD-3(国際頭痛分類)との比較を行いながら解説をした.

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