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第153回日本歯科保存学会2020年度秋季学術大会 開催される
 2020年11月16日(月)〜 11月30日(月),「人生100年時代を迎え,次世代型の保存治療学を求める」をテーマに標記大会がWEB開催された.(大会長;横瀬敏志氏,明海大)
 本大会のテーマと同名で行われた特別談話会では,大野勢太郎氏(ラジオリポーター),村田 綾氏(女優)のふたりを司会に迎え,宇田川信之氏(松歯大),中村勝文氏(埼玉県),青木 章氏(医科歯科大),横瀬敏志氏(明海大),赤司征大氏(WHITE CROSS)がシンポジストとして登壇した.談話会ではそれぞれの立場から口腔の健康が全身に与える影響について語られ,自分の歯で噛んで食事をすることの大切さを強調するとともに,たとえ終末期医療に差し掛かったとしても歯の保存を諦めない姿勢が大切であることなどが共有された.また,取材者として多くの一流スポーツ選手を取材した経験のある大野勢太郎氏は,王 貞治氏が「僕の奥歯は奥歯ではない」と言ったエピソードを紹介し,アスリートが食いしばるときにいかに歯に負担がかかっているのかを知ったと語った. 
 理事長講演「新型コロナウイルス感染症流行下における歯科医療とARTの実践」では,田上順次氏(医科歯科大)がう蝕治療に際して緊急時などに行われるART(Atraumatic Restorative Treatment)法の歴史を振り返り,新型コロナ感染症が蔓延している現在において,取り得べき対処法の一つであることを提案した.
 講演1「新たな視点から全身と口腔疾患を考える―明日のチェアーサイドで役立つ基礎研究の知識―」では,落合邦康氏(日大)が歯周病が糖尿病や肺炎,心臓病などとの重要な全身症状の因子になる点をあげ,歯科医療の発達は臨床技術や歯科材料のみによって達成されるのではなく,基礎研究による下支えが重要であることを強調した.
 講演2「人生100年時代における硬組織研究の挑戦」では,片桐岳信氏(埼玉医科大)が,マウス実験の結果解析から,硬組織の維持・再生を担う生理活性物質の生理的役割や関係性についての可能性を報告した.
 講演3「歯髄再生治療:実用化に向けた取り組み」に登壇した中島美砂子氏(兵庫県)は,自身が院長を務めるRD歯科クリニックが臨床研究を行った「不可逆性歯髄炎における自己歯髄炎幹細胞移植による歯髄再生療法」が厚生労働省などから承認を得たことを受け,すでに実用化に取りかかっていることを報告し,歯髄・象牙質再生治療の発展のために共有と議論を呼びかけた.
 教育講演1「医療従事者のための『骨免疫学』入門と最前線」では,塚崎雅之氏(東京大)が日々の臨床において遭遇するさまざまな現象の根本には細菌,力,免疫系,骨代謝のクロストークが存在している点を示し,そのメカニズムを骨免疫学の観点から考察した.
 教育講演2「骨粗鬆症治療薬『テリボン』の基礎と臨床」に登壇した石津谷俊則氏(東京都)は,自身が所属する旭化成ファーマ社が,現在多くの骨粗鬆症患者に対して使用されているテリボン(一般名:テリパラチド酢酸塩)を開発するまでの過程を振り返り,同時に骨代謝研究の奥深さについて語った.

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