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第11回 歯科プレスオンラインセミナー 「新型コロナウイルス感染症と歯科医療」開催される
 10月21日(水),標記セミナーがオンライン配信にて開催された(主催:(一社)日本私立歯科大学協会).
 日本私立歯科大学協会は,昭和51年(1976年)に設立され,時代の要請に応えられる歯科医師の養成,歯科医学教育の推進のために,全国17の私立歯科大学・歯学部が集まり,さまざまな活動を展開しているものである.

 講演に先立ち,会長の三浦廣行氏と専務理事の羽村 章氏が登壇.本協会の成り立ちや,緊急事態宣言下において新型コロナウイルス感染の影響が最も大きかった4,5月における対前年度診療軒数を紹介し(歯科診療所:4月 -20%,5月 -22%,歯科附属病院:4月 -51%,5月 -58%),このような状況が人々の健康上どのような影響を生じさせるかについて,本会で紹介するとした.
三浦廣行氏
羽村 章氏
 「講演1 ウイルスに対抗する歯科の重要性」では小林隆太郎氏(日歯大)が登壇.「歯科診療室で新型コロナウイルス感染が起こらなかった理由」,「ウイルスに対応するための歯科の重要性」の2点について解説した.
 歯科においては,従来よりオートクレーブによる滅菌や,消毒用アルコールや次亜塩素酸を用いた衛生管理,スタンダードプリコーションが徹底していたことが,コロナ禍においても歯科臨床を原因とする感染やクラスターが発生しなかった理由と考えられるとした.感染対策においては「感染経路の遮断」が最も重要で,歯科臨床上特に憂慮されるエアロゾル感染についても,口腔内・外バキュームやラバーダム防湿などの適正使用や,マスク等の着用,手指消毒の徹底により対応できるとした.また,医療者側の徹底的な感染予防対策と同じく,患者側の健康管理も重要であり,来院時の体調確認(平熱より1度以上上昇していないか,味覚・嗅覚等の異常がないか等),および待合室における密集・密接を避ける調整が重要だとした.
 「口は健康の入口であり,病気の入口でもある」とし,ウイルスと口腔の関係,歯周病と全身疾患との関連を論文データ等を元に解説したうえで,日常における「口腔ケア」「口腔健康管理」が重要であるとした.今後の新型コロナウイルス感染症予防対策としては,正しい知識による新たな習慣作り,新たな工夫が求められており,歯科診療そのものが社会貢献であると認識し,人々の生活や教育に直結するものと捉えていくことが重要であるとまとめた.
小林隆太郎氏
 「講演2 私立歯科大学・歯学部における感染対策の現状」では,槇 宏太郎氏(昭和大)が登壇.2011年に設置された私立歯科大学協会附属病院感染対策協議会について紹介したうえで,毎年実施されている感染対策教育および感染対策強化・充実のための調査(新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう直前,H30年度のもの)を紹介した.
 「院内感染対策」の状況,学部学生および臨床研修歯科医へ向けた実態調査(感染症対策に関する講義の担当講座,講義数,講義時期,講義内容,等)や,針刺し事故などの事故報告についても紹介し,歯科医療や教育の現場では,従前より感染症に対して高い意識をもって臨んでいることを紹介した.さらに,新型コロナウイルス感染症の拡大を受け,現在多くの私立歯科大学,歯学部,附属病院では感染対策のさらなる強化・充実をはかっているとまとめた.
槇 宏太郎氏

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