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日本補綴歯科学会 第129回学術大会 開催される
 6月26日(金)~28日(日),「食力向上による健康寿命の延伸:補綴歯科の意義」をテーマにした標記学術大会がリアルタイム配信形式にてWEB開催された(大会長:古谷野 潔氏・九大).
▲学会理事長の大川周治氏(明海大)
▲大会長の古谷野氏
 シンポジウム2「インプラントの撤去とそのリカバリーを考える」(座長:馬場俊輔氏・大歯大,関根秀志氏・東歯大)では,正木千尋氏(九歯大)が「インプラント撤去後の補綴治療ストラテジー」と題してインプラントの撤去方法を概説し,撤去後の補綴治療ではインプラントロストの原因を考慮・改善した治療計画(再埋入,可撤性義歯,IARPD等)を立案するよう述べた.西村正宏氏(鹿児島大)は「インプラント撤去基準と撤去後のリカバリー方法」と題し,文献的考察を踏まえてインプラントが機能的に補綴装置を支持していれば可能な限り治療を試み,患者との協調判断で治療計画を立案する必要があると指摘した.阪本貴司氏(大阪府)は「患者の立場から考えるインプラント撤去基準とその後のリカバリー」と題し,撤去時には埋入時と同水準の診断や患者・家族への説明と同意が求められ,再埋入が理想的な選択肢であるかどうかも吟味すべきとした.
▲シンポジウム2の座長および演者
 メインシンポジウム「食力向上による健康寿命の延伸:補綴歯科の意義」(座長:丹沢秀樹氏・千葉大,古谷野氏)では,市川哲雄氏(徳島大)が「高齢者における食べる力と先制医療」と題し,咀嚼を咀嚼能率だけでなくその先の食塊形成,嚥下までの一連の流れとして広く捉えるべきとし,そのための臨床指標確率の必要性を指摘.小児から成人,高齢者までの口腔健康管理の橋渡し役としての補綴治療の意義にも言及した.朝田芳信氏(鶴見大)は「小児期における口腔機能の育成について」と題し,口腔機能の維持や健康寿命の延伸のためには乳幼児期における歯科的介入による口腔機能の正常な獲得と発達,学童期における健康教育の充実,青年期におけるヘルスプロモーション推進が重要とした.馬場一美氏(昭和大)は「口腔機能を『測る』」と題し,要支援・要介護前のライフステージにおける先制医療としての補綴治療の認知症等への予防・遅延効果について広く理解を得るために,咀嚼機能評価方法を確立し,咀嚼機能を医学的・社会的に定義したうえで,補綴治療の波及効果を実証する必要があるとした.窪木拓男氏(岡山大)は「補綴歯科治療は健康寿命の延伸や生命予後に貢献できるか?」と題し,現在歯数や咬合と生命予後に関する論文をレビューし機能歯数の減少が栄養摂取を介して生命予後に影響することを紹介.ライフステージに合わせた高齢者の食支援に多職種連携で臨むに際し,歯科としても口腔機能を中心とした学問構築を考えなければならないと述べた.
▲メインシンポジウムの座長および演者
 シンポジウム7「IODのニューエビデンス」(座長:大久保力廣氏・鶴見大,田中譲治氏・千葉県)では,金澤 学氏(医科歯科大)が「IODとIARPDの最新エビデンス」と題し,2000年以降の臨床研究を中心とした200本の文献をもとに,「下顎2-IOD/下顎遊離端欠損へのインプラント埋入位置は」,「下顎1-IOD/IARPDの生存率と患者報告アウトカムは」といったトピックについて臨床実感も交えて見解を示した.中居伸行氏(京都府)は「Value-Based Dentistryコンセプトに基づくIOD治療」と題し,歯科治療のValueはQualityからCostを除したものとする認識のもと,IODの応用によって生物学的コスト(顎堤の保存),経済的コスト(埋入本数減),時間的コスト(即時荷重)を実際に低減した症例を示した.永田省蔵氏(熊本県)は「欠損歯列の流れを考慮した歯列の改変とインプラントの適用」と題し,機能障害の回復を図るためのIODや,上下顎の加圧・受圧バランスの改善あるいはすれ違い咬合などへの難症例化を防ぐためのIARPDの応用など,欠損補綴治療においてインプラントによる支持獲得,歯列改変によって効果的に対応した症例を供覧した.
▲シンポジウム7の座長および演者
 シンポジウム8「欠損歯列における咬合再構成―欠損をどう診て,どのようにアプローチするか―」(座長:谷田部 優氏・東京都,山下秀一郎氏・東歯大)では,兒玉直紀氏(岡山大)が「欠損歯列における咬合再構成―欠損をどう診て,どのようにアプローチするか―~咬合再構成のエビデンスを探る~」と題し,同学会専門医症例の分析から咬合再構成に至る病態としてすれ違い咬合や低位咬合,重度歯周病が多く病態に応じたアプローチには一貫性があること,欠損補綴治療の顎間関係の決定・確認にゴシックアーチの応用も選択肢になることを述べた.倉嶋敏明氏(新潟県)は「症例に応じた治療手法の選択および咀嚼機能再現の効果」と題し,残存歯の保存や咬合支持の確保,適正下顎位の維持,最小限の再介入で対応可能な設計によって咀嚼機能を回復し咬合崩壊への進行を防ぎ健康増進に寄与できるとして,テレスコープ義歯やインプラント,IARPDなど多彩なオプションで臨んだ多くの長期症例を供覧した.日比英晴氏(名古屋大)は「口腔外科医の立場から咬合再構成を考える」と題し,不正咬合に対し外科的矯正治療で対応した症例を示し,顎顔面領域における咬合再構成においては顎位と咬合平面の適切な設定や周囲組織(内面形態,気道等)への配慮が求められることや,治療の予後を見据えることができる補綴医の主導によるアプローチをとるべきとした.
▲シンポジウム8の座長および演者

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