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第16回歯内療法症例検討会,セミナー 開催される
 2月23日(日),東京医科歯科大学(東京都文京区)にて標記会が開催された.
 午前のセミナーでは,代表の吉岡隆知氏(東京都)の開会の辞の後,4題の講演が行われた.
 瀧本晃陽氏(東京都)は「『リバスクラリゼーション』の『現在』」と題し,現在の術式の紹介から利点・欠点を整理.具体的な症例を紹介後,成功率をめぐる研究などを踏まえ,感染・炎症の範囲を確定する方法の確立を期待して締めくくった.
 辺見浩一氏(東京都)は「う蝕歯の歯髄保存 Part 3:歯髓保存のデメリット」と題し,歯頚部断髄のメリットを述べた後に,術後不良経過への対応も紹介.未知の部分も多い術式であり,現状では抜髄の代替となるものではないことを指摘.その一方で,根未完成歯などの適応症を考えれば有用であることも述べた.
 須藤 享氏(仙台市)は「歯種別対応 下顎小臼歯」と題し,下顎第一小臼歯の2根管の頻度の紹介から,舌側根管の見落としを防ぐための髄腔開拡の注意点を指摘.また,下顎小臼歯で話題となるRegenerative Endodonticsの整理と注意点を解説した.
 浦羽真太郎氏(昭和大)は「補綴支台歯・鈎歯への根管治療の治療成績」と題し,残存歯質量や支台歯数など,根管治療後の補綴において問題となるテーマを,詳細な文献検索をもとに紹介した.
 午後の歯内療法症例検討会では,山内隆守氏(東京都)の開会の辞の後,まずは症例発表が8題行われた.具体的な症例の相談・発表をテーマにするものから,陥入歯(歯内歯)や歯内-歯周病変,サージカルステントまで幅広いテーマで活発な議論が行われた.
 最後の田代志門氏(東北大・文)が「症例検討から考える研究倫理と臨床倫理」と題し,特別講演を行った.症例報告をめぐって,近年制定された臨床研究法や医学系指針との関係をわかりやすく整理し,対象範囲となるものの把握の重要性や,医科分野における考え方の紹介などを詳しく述べた.さらに「未確立の介入」をめぐる歴史的な考え方などを整理したうえで,医科と比べて「保険診療」という線引きが比較的弱い歯科分野での注意点を指摘した.さらに,「インフォームド・コンセント」をめぐる誤解がいまだに消えておらず,共同意思決定による意思決定モデルの大切さを述べた.
 最後に本会顧問の井澤常泰氏(東京都)が閉会の辞を述べた.
 次回の第17回は,9月6日(日)に秋葉原UDXシアターにて開催予定である.

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