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グローバルセミナー UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)と口腔保健 開催される
 1月9日,アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)において,標記のセミナーが行われた.(主催:深井保健科学研究所)
 最初に,本セミナー主催者である深井保健科学研究所の深井穫博氏より,「世界保健機関(WHO)が目指すグローバルヘルスケアの実情を知るとともに,日本の歯科口腔保健が果たすべき役割について議論をすること」が本セミナーの開催趣旨として示された.
深井穫博氏(深井保健科学研究所所長)
 続いて,本セミナーの講師である牧野由佳氏(WHOアフリカ地域事務所慢性疾患部署)が登壇.歯科医師である牧野氏は,WHOの口腔保健プログラムのテクニカルオフィサーとしてコンゴ共和国のブラザヴィルで働く,現役のWHO職員である.
牧野由佳氏(WHO口腔保健プログラムテクニカルオフィサー)
 まず牧野氏は,UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)について解説.UHCは「すべての人が質の高い基礎的な保健サービスへ負担可能な費用でアクセスできること」を目指すが,全世界人口の約半数(34.7億人)が口腔疾患を抱えているといわれる現在にいて,歯科口腔保健が担う役割の大きさを強調した.
 続いて,国際連合が掲げた開発目標(2000年のミレニアム開発目標〔MDGs〕および2019年の持続可能な開発目標〔SDGs〕)を紹介.こうした,国連の掲げる大きな目標に公衆衛生や医療がどのように関わるのか,その流れを示した.また,開発目標に沿った国連の取り組みとして,2019年9月の第1回UHCハイレベルミーティングを取り上げ,本ミーティングにおける成果である『UHC政治宣言』において,口腔保健(oral health)の文言が盛り込まれたことを強調.こうしたことにより,国連の下部組織であるWHOなどで口腔保健に対する取り組みがやりやすくなることを解説した.
 また,近年,英ランセット誌において「口腔保健とUHC」が取り上げられるなど,口腔保健に関する注目が集まっていることを紹介.しかし,その一方で口腔保健人材の育成が進んでいかなかったり,口腔への意識が低い国や地域が多く存在したりする事実を挙げ,口腔保健を各国の政策に取り込み,世界的に推進していくために必要な要素などを解説した.
 最後に,グローバルヘルスの観点からみた日本の歯科界に期待されることとして,牧野氏は「質の高いエビデンスの創出」「これまでの政策を評価してその経験を他国へシェアすること」「口腔保健の優先度を高めるため,各国や組織,機関などへの政治的な支援」の3点が重要であると語った.
 その後,質疑応答においては牧野氏のアフリカにおける日常的な業務が紹介されたり,公衆衛生に関わる国内・国外の人材育成について議論が交わされるなど,「WHOに2人しかいない,歯科医師の口腔保健のテクニカルオフィサー」である牧野氏を囲んでさまざまな話題が出された.

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