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シンポジウム「唇や舌の痺れや痛みに対する最新治療とその展望」開催される
 12月8日(日),標記会が東京歯科大学水道橋校舎新館(東京都千代田区)にて開催された(主催:新潟大学医歯学総合病院歯科麻酔科,協賛:永井エヌ・エス知覚科学振興財団,ストローマン・ジャパン株式会社).
 主催の新潟大歯科麻酔科の瀬尾憲司氏による本シンポジウムの主旨説明の後,5題の講演が行われた.
 福田謙一氏(東歯大)は「三叉神経損傷の実態とその病態」と題し,歯科と関わる三叉神経である下歯槽神経(オトガイ神経),舌神経,眼窩下神経の損傷に関し,抜歯後の損傷が圧倒的に多い現状を紹介.また,神経のしくみから,損傷とその後の治癒の難しさ,神経腫の問題や評価の方法,治療の選択肢など,現状をわかりやすくまとめた.
 次に照光 真氏(北医大)は「三叉神経損傷のイメージングと診断」と題し,神経障害の評価方法としてMRIによるイメージングを紹介.MRIには悪い条件である口腔において,神経を見やすくするMR Neurographyを紹介した.さらに,CTの普及により下歯槽神経の傷害は回避される一方,舌神経損傷の比率が増している現状を指摘した.
 瀬尾氏は「三叉神経損傷の外科的治療とその予後」と題し,再生の「場」をつくる人工神経による再生を紹介した.一方で,長い経過をみないと再生を判定できない現状や,多くの症例で痛みが出ることや,完全な回復は難しいことも指摘.患者に過度な期待をもたせず,術後痛が起こることから痛みがある症例が適応となることなど,医療者への注意点もまとめた.
 中村達雄氏(京都大)は「再生医学からみた末梢神経損傷 人工神経を用いたin situ Tissue Engineering」と題し,損傷しても治らない中枢神経に対し,治る末梢神経の再生研究をめぐる歴史の整理から,京都大学におけるコラーゲンを足場としたPGA tubeの開発と整形外科や歯科分野での応用を紹介した.
 最後に廣江信行氏(廣江綜合法律事務所)が「神経損傷に対する医療訴訟の実態」と題し,医療訴訟のなかでも歯科の訴訟をめぐる現状を整理,判例を具体的に解説した.末梢神経はこれまで画像で写せなかったが,技術の進歩により写されることができ立証が容易になる可能性があり,裁判も変わってくる可能性を指摘.一方で,神経損傷で苦しむ患者の状況を裁判官に伝えることの限界も述べた.

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