11月24日(日),ベルサール秋葉原 B1 HALL(東京都千代田区)にて標記講演会が開催された.
本講演会では演者の4名(松田謙一氏・大阪府,熱田 生氏・九大,金澤 学氏・医科歯科大,松丸悠一氏・フリーランス 総義歯臨床専門歯科医師)が編集委員を務め同月に出版された,月刊歯界展望別冊『
はじめての全部床義歯』の章立てに沿って“若手歯科医師が初めて全部床義歯症例を担当するときに押さえておきたいポイント”についてリレー形式で登壇,解説した(主催:株式会社Doctorbook.歯科医療従事者向け情報サイト「
Doctorbook academy」を運営).
以下,内容を抜粋してお伝えする.
Chapter1「はじめに~全部床義歯の特徴~」では,松田氏が無歯顎症例の治療目標は単に欠損部を義歯によって回復することではなく,無歯顎に伴う組織喪失により低下した口腔機能を回復することにあると指摘.
Chapter3「概形印象」では,熱田氏が同工程は義歯に最適な粘膜面,研磨面の形を規定することが目的であり,顎堤を観察し粘膜の被圧変位量や口輪筋,口腔底の反発力を触診し確認することが重要とした.
Chapter7「咬合採得①/垂直的顎間関係」では,金澤氏が義歯の咬合を咬合採得とゴシックアーチ描記の2回で決めるのではなく,その後の試適,装着までの過程で徐々に詰めていく概念で臨むことの重要性や,咬合高径とリップサポートの関係等に言及した.
Chapter10「臼歯排列位置の決定・咬合様式」では,松丸氏が天然歯の元あった位置を予測し周囲軟組織との調和を図ったうえで臼歯排列位置の力学的検討と必要な修正を行うのがよいとし,適切な咬合接触状態についても図解した.