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第62回 秋季日本歯周病学会学術大会 開催される
 10月25日(金),26日(土),北九州国際会議場および西日本総合展示場(北九州市小倉北区)にて標記大会が「寿命100年時代を見据えた歯周病治療」をテーマとして開催された(大会長:中島啓介氏・九歯大).
▲中島氏
▲第一会場風景
 シンポジウムⅠ「高齢者・有病者に対する歯科治療の役割」では,「循環器疾患をもつ高齢者の安全な歯科治療を実現するためのリスクマネジメント」として大渡凡人氏(九歯大)が循環器系疾患とそれに関連する全身的偶発症への対応法として有病患者に対する歯科治療時の局所麻酔の選択基準を解説した.「高齢者の摂食嚥下障害に対するアプローチ」として藤井 航氏(九歯大)が摂食嚥下リハビリテーションにおいては病状に応じた多職種連携による対応と訓練が求められるとし,歯科医師・歯科衛生士の参画の必要性を述べた.「周術期における歯科治療・歯周病治療の役割」として松尾浩一郎氏(藤田医大)は周術期口腔機能管理を通じて歯科から栄養摂取やフレイル予防について患者に指導することで,患者のQOL向上に寄与できるとした(座長:吉成伸夫氏・松歯大).
 特別講演Ⅰ「骨吸収の分子機構の解明と歯周病治療への展開」では自見英治郎氏(九大)が破骨細胞分化の分子機構を説明し,さらに転写因子NF-κB の活性化経路のうち非古典的(オルタナティブ)経路においてNF-κB-inducing kinase(NIK)の活性化を抑制することでマウスにおける破骨細胞形成を抑制したとの自身の研究結果から,NIK阻害剤が骨形成を促進する可能性を示唆した(座長:西村英紀氏・九大).
 シンポジウムⅢ「高齢患者に対する再生療法の現在とこれから」では船越栄次氏(福岡県)が「再生療法に年齢制限はあるのだろうか?」として高齢患者に歯周組織再生療法,インプラント治療を施し良好なメインテナンスにより長期予後が得られた症例を供覧し,高齢患者の治療に入る前に患者の肉体的・生理的年齢を見極めることが重要とした.次に清水宏康氏(東京都)が「高齢者に対するインプラント治療」として高齢患者を① 健康高齢者,② 境界高齢者,③ 要介護高齢者とカテゴライズし,②については将来の変化を考慮した治療計画を検討する必要があること,③については患者の現状に応じた治療・メインテナンスゴールを設定することが肝要とした.築山鉄平氏(福岡県)は「一生涯自分の歯,インプラントを守るための高齢者に対するメインテナンス」として,高齢者=セルフケアができないと短絡的に捉えるのではなく,患者の手先の器用さ(巧緻性の程度),普段のセルフケア(習慣化の有無),歯科に関する知識,治療に対するモチベーションを加味した説明やメインテナンス,個別的でピンポイントな口腔衛生指導が有効と述べた(座長:坂上竜資氏・福歯大).
 ハンズオンセミナーⅡ「“実践的”超音波スケーラー」では,大月基弘氏(大阪府)が歯周病学の歴史から非外科的歯周治療の意義と目的を解説,さらに超音波スケーラーを用いるうえで知っておくべき知識を古典的文献から紐解いた後,大月氏を含むインストラクターの歯科医師による超音波スケーラーを用いたSRPの実習が行われた(協賛:デンツプライシロナ株式会社).
▲ハンズオンセミナーⅡ風景

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