2019/10/21
10月16日(水),17日(木),有楽町朝日ホール(東京都千代田区)にて「どう活かす? MFT」を大会テーマに,標記学術大会が開催された(大会長:末石研二氏/東歯大).
初日の教育セミナー1では大野由希粛氏(神奈川県開業)土屋さやか氏(大野矯正クリニック,歯科衛生士)が「当院におけるMFTへの取り組み―歯科医師と歯科衛生士の連携―」と題して登壇.当院での診療の過程を示しながら,適切な口腔機能の診査・評価,指導計画の立案,医院内での情報共有など指導を行ううえで大切にしていることを紹介.平成30年度の診療報酬改定により保険導入された「口腔機能発達不全症」への対応についても触れながら,歯科医師,歯科衛生士の両立場から言及した.
教育セミナー2では中島庸也氏(東京歯科大学市川総合病院,医師)が「睡眠時無呼吸から考える口・鼻呼吸」と題して登壇.鼻呼吸と口呼吸はどのようなものかを整理したうえで,鼻呼吸の障害や習慣性などによって出現する口呼吸の影響について,症例を供覧しながら言及した.そして睡眠時の呼吸,OSA(閉塞型睡眠時無呼吸症)への対応を紹介し,最後にOSAの病態生理学的特徴を整理し,今後の対応も展望を示した.
ZickfooseMFT講習会(ミツバオーソサプライ主催)のインストラクターによるラウンドテーブルディスカッション(RTD)が行われ,歯科医師,歯科衛生士に分かれ,MFTに関する情報交換などが行われた.
2日目には,当学会会長の高橋 治氏(東京都開業)による教育講演「MFTってそもそも何?-現代における口腔筋機能療法の位置づけ-」をはじめ,特別講演,シンポジウムでは「ライフステージに応じた口腔機能の診断と方針および評価」をテーマに,朝田芳信氏(鶴見大)よる「小児の口腔機能発達不全症の特徴と評価について」, 高橋滋樹氏(神奈川県開業)による「改めて考えよう 矯正歯科医院におけるMFT」,上田貴之氏(東京歯科大)による「高齢期の口腔機能の評価と診断―オーラルフレイルと口腔機能低下症―」と題して登壇した.
特別講演では,武田友孝氏(東京歯科大)が「スポーツ歯科医学の現在と可能性」と題して登壇.はじめに歯科医院にて留意すべきドーピグ防止(アンチドーピング)について言及したうえで,さまざまな種目によるスポーツクレンチング発現と効果を自身の研究データを供覧しながら示した.そして,外傷・障害が発生した実際の動画を示しながら,適切なスポーツマウスガードの使用による顎口腔系における効果,脳震盪への効果の可能性を紹介し,正しいスポーツマウスガードの必要性について強調した.
その他,一般口演3題, ポスター発表9題が行われるなど,2日間にわたり多くの歯科医療従事者で賑わった.
次回,第8回学術大会は,2020年10月28日(水),29日(木)に開催予定である.