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第2回歯科矯正用アンカースクリュー研究会学術大会 開催される
 9月29日(日),明海大学浦安キャンパス(千葉県)にて標記大会が「歯科矯正用アンカースクリューのさらなる発展と安全性を目指して」をテーマに開催された(大会長:須田直人氏・明海大,研究会会長:末石研二氏・東歯大).
 特別講演Ⅰ「歯科矯正用アンカースクリュー(OAS)を用いた矯正治療の効率化と安全性を考える」では,本吉 満氏(日大)がOAS脱落要因の多くを占める歯根接触について分析.また,偶発症としての上顎洞への穿孔や歯髄腔への貫通,歯根破折についても触れた.さらに口蓋正中部における植立や,第三大臼歯抜歯後の頬棚への植立など,研究と症例により考察を加え,上顎は口蓋,下顎は頬棚への植立の方向性を示した(座長:西井 康氏・東歯大).
 ベーシックセミナー「歯科矯正用アンカースクリューガイドライン第二版における変更点について」では,不島健持氏(神歯大)が初版の発行からアンカースクリューの保険収載などで大きく変化があり,第二版の発行に至った経緯を解説.変更の要点について,移動メカニクスにおけるCQの充実化や,口蓋用アンカースクリューおよびアンカープレート(仮称)などについての情報の追加など,氏の症例も交えつつ,わかりやすく紹介した(座長:大塚雄一郎氏・明海大・本大会準備委員長).
 特別講演Ⅱ「Smile and soft tissue considerations for older adults in the TADs era」では,鄭 朱玲氏(延世大)が40歳代以上の比較的年齢の高い患者に対する矯正治療を考察.割合としては少ないながらも増加傾向にあり,年齢のせいで矯正治療ができないのではないかという思い込みを変えてもらえば,前歯のみのシンプルな治療であっても満足を得られるものであることを,氏の開発したアンケートによるコホート研究で紹介.また,歯周病患者への矯正治療についても考察を加え,骨吸収の進行した歯根おける問題点はインプラントアンカーでできるだけシンプルな移動を考えることで解決が可能であると指摘した.さらに豊富な症例を供覧し,ケースごとに工夫して計画をする「個性矯正治療」を提案した(座長:須田氏).
 シンポジウム「アンカースクリューによる開咬の改善とその留意点」では,最初に大塚氏が「アンカースクリューを用いた上顎臼歯セグメント圧下のバイオメカニクス」と題し,Dr.Burstoneの抵抗中心(CR)の解説を行った後,臼歯セグメントのCRを考察,氏がこれまで行ってきたバイオメカニクス研究をもとに検討を行った.次に橋本幸治氏(東京都)が「前歯部開咬の改善におけるアンカースクリューの適応部位について」と題し,開咬の原因である歯性開咬か骨格性開咬か,また前後的・水平的診断により特徴に合わせてメカニクスを考えたうえでのアンカースクリュー植立部位など,症例をもとに検討を行った.岡下慎太郎氏(奈良県)は「開咬の治癒機転 カウンターはなぜ起こる」と題し,開咬を前歯部の挺出で治癒した症例を呈示した後,下顎の反時計回りの回転(カウンター)により結果的に治癒した症例について,メカニクスも踏まえて詳細な考察を行った.最後に立木千恵氏(東歯大)が「開咬治療の新たな診断基準」と題し,従来の前歯部の挺出もしくは外科的矯正治療という選択肢に加え,アンカースクリューによる臼歯圧下という選択肢を得たことで診断基準に変化が生じていることを指摘,症例分析と論文レビューによりMandibular plane angleをもとにした診断を提案した(座長:大谷淳二氏・愛媛県,高木多加志氏・東歯大).

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