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第49回 日本口腔インプラント学会学術大会 開催される
 9月20日(金)~22日(日),福岡国際会議場および福岡サンパレスホテル&ホール(福岡市博多区)にて標記大会が「インプラント治療が拓く未来-スキルとテクノロジーの融合-」をテーマに開催された(大会長:城戸寛史氏/福歯大.併催:日本口腔インプラント学会第37回九州支部学術大会)
 専門医教育講座①医学系研究に関する倫理セミナー(座長:馬場俊輔氏・大歯大)では,「臨床研究法について」と題し,戸田伊紀氏(大歯大)が「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(医学系指針)」の制定の経緯から内容まで解説.本学会における医学倫理審査を解説し,後ろ向き研究への対応も述べた.また,研究倫理に関して日本学術振興会のeラーニングを紹介した.
 シンポジウム2「暦年齢と健康寿命からインプラント治療を再考する」(座長:武田孝之氏・東京都,関根秀志氏・奥羽大)では,最初に櫻井 薫氏(東歯大)が「高齢者だけの疾患ではない口腔機能低下症」と題し,口腔機能低下症の解説と診断についての説明を行った.患者の暦年齢だけで見ずに,初診時でX線以外の検査も行うことの大切さを強調した.次に「患者の健康寿命と自立度からとらえたインプラント補綴歯科治療戦略の提案」と題し,黒嶋伸一郎氏(長崎大)が軽度認知障害(MCI)の位置づけを解説.MCIとフレイルに基づいた診断ごとの補綴治療戦略を提案し,口の終活を始める時期を患者に教える必要性を説いた.最後に梅原一浩氏(青森県)が「インプラント治療の長期経過から考える自立度の変化への対応」と題し,2代の歯科医師にわたって長期の経過を確認しているインプラント症例をめぐり,そこから導き出された患者の全身状態の変化に基づく今後の予測について解説した.
 企画講演3「インプラント上部構造としてのジルコニア」(座長:加倉加恵氏・福歯大,松永興昌氏・福岡県)では,最初に吉成正雄氏(東歯大)が「単層(monolithic)ジルコニア修復の可能性」と題し,ジルコニアの材料学的特性を解説した後,単層ジルコニアにおける強さ,色調,対合歯摩耗,接着,適合性などを説明した.次に馬場一美氏(昭和大)が「モノリシックジルコニアの基礎的性質と臨床応用」と題し,これまでの臨床の変遷からモノリシックの与えた臨床の使いやすさを述べる一方で,焼結時の収縮や,審美領域ではレイヤリングに患者のニーズがあるなど,残っている問題点についても指摘した.最後に野本秀材氏(東京都)が「経過と展望 開業医に必要なジルコニア最前線」と題し,10年以上の経過に見るプラーク付着や歯肉との親和性などの利点を解説.口腔内スキャナや3Dプリンタを利用したジルコニアによる補綴治療を紹介した.
 シンポジウム6「デジタル時代のinterdisciplinary detistry」(座長:城戸氏,野林勝司氏/九州支部)では,「昨今のオールセラミック材料のポテンシャルを探る」として大谷一紀氏(関東・甲信越支部)が,いわゆる第一世代および透光性が向上した第二・第三世代のジルコニアや多層構造で自然な色調を再現できるジルコニアを前歯部審美領域に応用する際の選択基準について解説.続いて歯科技工士の湯淺直人氏(大谷歯科クリニック)がセラミッククラウン製作時に口腔内試適を経ずに色調を合わせるためのアプローチとして,露出や画角,撮影距離を規格化した口腔内写真の撮影法や,デジタル画像を用いて行うパソコン上での仮想試適の手法を紹介した.橋村吾郎氏(関東・甲信越支部)と歯科技工士の志田和浩氏(株式会社PREF)は「フルマウス治療におけるエステティック実現のためのデジタルデンティストリー」と題し,All on 4治療コンセプトを応用した審美治療を成功させるポイントとして診査診断,3Dプランニング,ガイドサージェリーの各工程のポイントや即時荷重,CAD/CAM応用,スクリュー固定の臨床的なメリットを述べた.

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