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第38回日本歯科医学教育学会総会および学術大会開催される
 7月19日(金)~7月20日(土),パピヨン24ガスホール(福岡市博多区)にて,標記学会総会および学術大会(大会長:古谷野 潔氏/九州大学大学院)が,「どげんする?今,求められている歯科医学教育の変革」をテーマに開催された.
大会長の古谷野 潔氏
 特別講演では,「食事と認知症の関係:久山町研究」(座長:古谷野 潔氏)をテーマに二宮利治氏(九州大学大学院)が登壇.福岡県久山町で継続中の追跡調査である,いわゆる世界に誇るヒサヤマ・スタディの現時点で明らかになっている認知症予防の食事について報告.大豆製品と豆腐,芋類,果実類,魚の摂取量が多く,米とアルコールの摂取が低い食事パターンを有する者では,全認知症の発症リスクが有意に低かったこと,また,義歯使用者と未使用者においても,使用者は有意にアルツハイマー型認知症の発症が有意に低かったことを報告.なんでも食べられる口であることが大切であると歯科医療従事者に力強く発信した.
特別講演の様子
 シンポジウム1では,「連携教育の今」(座長:西村英紀氏/九州大学大学院)をテーマに4名が登壇.
 片岡竜太氏(昭和大学歯学部)は「医学・歯学薬学・保健医療学部関連連携教育導入から10年経過して~学部連携病棟実習を卒前のゴールとする学部連携教育の問題点と成果~」と題し,チーム医療に貢献できる医療人を育成するために,2006年から導入している学部連携教育について紹介.他の専門性を理解することで自分の専門誠を客観視できる,“互いと共に学ぶ”ことの意義を学生が体得できたことと同時に学部を超えた教員間の連携が深まったことも意義深く,カリキュラム改革につながっていると報告.柏﨑晴彦氏(九州大学大学院)と森田浩光氏(福岡歯科大学)は,九州大学と福岡歯科大学の学生臨床実習および病院臨床研修の連携協定を結び,連携臨床実習・臨床研修のトライアルを開始したことによる現状を報告.九州大学では周術期口腔ケアセンターを中心に周術期における口腔機能管理を学ぶ実習,福岡歯科大学では介護老人保健施設及び介護老人福祉施設において要介護高齢者との接し方や生活介助の実習など,それぞれの特長を活かした実習の具体的な取り組み,そして今後は僻地医療・災害時医療も含めた生涯研修についても力を入れたいと紹介.加藤功一氏(広島大学歯学部)は「広島大学歯学部における国際大学間連携」と題し,グローバル社会への対応に応えるべく,2010年度から歯学部2~5年次のすべての講義,実習,演習を英語と日本語を併用して行ってきた取り組みを紹介.結果,短期留学生の数の増大と日本人学生の国際化に対する意識改革につながっていると報告した.
片岡竜太氏
柏﨑晴彦氏
森田浩光氏
加藤功一氏
 教育講演では,「教育活動の中での疑問を学術的活動へつなげるために~教育研究デザイン・計画・実行まで~」(座長:鳥井康弘氏/教育研究委員会委員長)をテーマに菊川 誠氏(九州大学大学院)が登壇.教育研究を開始あるいは進めようとしている人へ,教育研究の前提となるパラダイム(実証主義,ポスト実証主義,構成主義,プラグマティズム)の概要とそれを基盤とした研究デザイン(量的・質的・混合研究)について解説.多くの参加者が苦慮している教育研究についての不安や疑問点が解消されるような内容であった.
菊川 誠氏
 ほか台湾国立陽明大学の許明倫氏による海外招待特別講演,テーマごとに行われた数多くの一般口演,ポスター発表についても,質疑応答が常に飛び交う熱量の感じられる2日間であった.本学会総会および学術大会を機に,本学会の理事長が関本恒夫氏(日本大学新潟生命歯学部)から河野文昭氏(徳島大学大学院)にバトンタッチされたが,今後の歯科医学教育のますますの発展に大いに期待がもてる関係各者の強い思いが感じられた.
 次回,第39回総会および学術大会は,オリンピック開催に伴い,例年とは時期が異なり,2020年9月26日(土)~27日(日),神奈川歯科大学にて開催予定(大会長:櫻井 孝氏).
懇親会の様子:グラナダスイート福岡12階にて
ポスター会場

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