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日本老年歯科医学会 第30回学術大会 開催される
 6月6(木)~8日(土),「食べる力を支える老年歯科医学」をメインテーマに,標記学術大会が仙台国際センター(仙台市青葉区)にて開催された(大会長:米山武義氏/静岡県開業).今年は2年に1度の各種老年学会の合同開催年であり,医学会,歯科医学会,看護学会など7つもの学会がこの仙台の地に集い,合同シンポジウムなども開催され,盛況な3日間となった.
米山武義大会長
 合同シンポジウム1「認知症の人と家族への支援」では,歯科から平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター)が登壇.「家族との語らいから始まる認知症の人の口への支援」と題し,8020運動,歯科治療の高度化を受け,現代の高齢者の口腔環境は良好になった一方,超高齢社会下では認知症を発症するリスクが高まることを述べ,「認知症の人への歯科治療ガイドライン(日本老年歯科医学会編)」の作成過程や認知症患者の家族との語らいから知り得た支援の視点について語った.
平野浩彦氏
 また,指定シンポジウム1では,「認知症高齢者に対する歯科治療ガイドラインの活用」と題し,上述のガイドライン作成の背景や骨子,臨床における活用のポイントについて解説.参加者の注目度も高く,会場は立錐の余地もないほどの超満員だった.
 なお,本ガイドラインでは認知症患者に対する「コミュニケーション」,「口腔管理,口腔衛生管理」「保存,外科,補綴」,「摂食嚥下」「栄養マネジメント」そして「緩和ケア」についての臨床上の疑問(Clinical Question)に対し,文献に基づいた推奨と解説が示されており,歯科医院で認知症の患者を迎えるとき,スムーズに診療を進めるとき,今後の治療方針を立案するとき,そして地域の医療機関として患者さんの最期に向き合うとき,さまざまな場面で,歯科医療職が取るべき対応が示されている.
安全で確実な歯科治療を行うために,超高齢社会必携のガイドライン
 「口腔健康管理」と「口腔ケア」を峻別し,用語の実践に向けてのシンポジウム2「口腔ケアから口腔健康管理へ」では,日本老年歯科医学会,日本歯周病学会,日本障害者歯科学会,日本摂食嚥下リハビリテーション学会,4つの学会の視点から用語の方向性を示した.
眞木吉信氏(東京歯科大学名誉教授・日本老年歯科医学会)
阪口英夫氏(永寿陵北病院・日本障害者歯科学会)
吉成伸夫氏(松本歯科大学・日本歯周病学会)
植田耕一郎氏(日本大学歯学部・日本摂食嚥下リハビリテーション学会)
 教育講演2「人間性復活の歯科医療-口から食べることを通して、とくに認知症への対応-」では,歯科訪問診療の草分け的存在である加藤武彦氏(横浜市開業)が登壇.認知症の理解が十分でない時代から,認知症患者と心を通わせ,満足してもらえる歯科医療を提供した事例を紹介.加藤氏が認知症患者へ行った歯科的アプローチと,患者一人ひとりに配慮したきめ細やかな対応に勇気づけられた歯科医師,歯科衛生士も多く,会場からはすすり泣く声が聞こえ,万雷の拍手の中講演を終えた.
加藤武彦氏
 「食べる力を支えるための口腔健康管理」をテーマに掲げた歯科衛生士シンポジウムでは,池邉一典氏(大阪大学大学院),関野 愉氏(日本歯科大学生命歯学部)の両氏がそれぞれ,咬合と歯周病の視点から,エビデンスに基づく再現性のある臨床を行うことの大切さについて語った.
 また,歯科衛生士である中澤正絵氏(富谷中央病院)の講演では,病院歯科臨床の立場から,全身疾患を有する患者に対する口腔健康管理の有効性やポイントについて,自身が経験した数々の症例,研究結果や最新論文をもとにわかりやすく紹介した.
池邉一典氏
関野 愉氏
中澤正絵氏
 今回,大会を通して,「認知症」「誤嚥性肺炎」「口腔機能低下症」「フレイル」といったキーワードが各会場を賑わせていた.次回,第31回大会は2020年,パシフィコ横浜ノース(横浜市西区)にて開催予定.

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