2019/04/11
4月7日(日),大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホール(大阪市北区)にて標記講演会が開催された(主催:スカンジナビアンデンティストリー).
上記勉強会を主宰する大月基弘氏(大阪市)によるオープニングセレモニーの後,白方良典氏(鹿児島大)が「歯周組織再生療法を再考する」として登壇.歯周組織再生療法の意義や治療戦略(適応)に触れた後,骨移植材料の種類と特性やメリット,エムドゲインやリグロスといった歯周組織再生材料の作用機序や使い分け方を明快に整理した.
次にGunnar Heden氏が「EMD for Perio Regeneration」と題して登壇.まず歯周病の病因論の変遷に触れ,最新の知見として特定の細菌種が問題になるではなく細菌叢の構成異常の状態(Dysbiosis)によって間接的に歯周組織に対する破壊的な炎症が引き起こされると紹介.続いてエムドゲインの特徴として基質の働きを高め骨芽細胞やセメント芽細胞の分化と増殖を促すという,歯や歯周組織の発生を模倣するというコンセプトに則った機序を有する点を解説.歯周組織再生療法の成功のためには必要に応じた治療(need-related treatment)を実施する必要があるとして,的確なSPTや診断はもちろん,メインテナンス移行後も状況に応じた対応の修正が求められるとした.
昼食後にはHeden氏の最長27年に及ぶエムドゲイン単体使用症例の数々を提示し,長期症例におけるneed-related treatmentの必要性を繰り返し訴えた.
Fika(コーヒーブレイク)を挟み,ケースプレゼンテーションとして中島 康氏(大阪府)がHeden氏の監督の下で取り組んだエムドゲイン症例や同材料を非外科的に用いる症例を,大月氏がいわゆるホープレスとされる歯を歯周組織再生(再建)療法によって保存したチャレンジケースなどを提示.それらを受けて演者全員でのディスカッションが行われ,Heden氏からはセメント質剥離への対応やまた咬合性外傷の捉え方などについて,自身の研究・臨床経験に基づいた考察が述べられた.
▲中島氏
▲ディスカッション風景(左から,通訳の辻 翔太氏,Heden氏,白方氏,中島氏,大月氏)