Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

第23回 米国歯科大学院同窓会(JSAPD)公開セミナー開催される
 2019年1月13日(日),虎ノ門ヒルズ(東京都港区)にて,第23回米国歯科大学院同窓会(JSAPD)公開セミナーが,『伝統をまもり、革新をめざすJSAPD “IoT時代の歯科治療を考える”』をテーマに,岡村光信氏会長(インディアナ大学,福岡県・岡村歯科医院)のもと,開催された.
会場内の様子
 午前の部のテーマは『歯科治療におけるデジタルおよびロボティクス,AI技術の臨床応用』.
 最初に登壇した本会会長の岡村氏(同前)は,「従来の印象法をしのぐか? 研究からみえるオーラルスキャナーの現状」と題し,オーラルスキャナー(IOS)の歴史と現状,従来法の印象との精度比較等について,文献レビューや自身の研究結果を元に解説した.IOSは片顎など狭い範囲の印象により効果的であり,とりわけインプラント印象は今後IOSへとシフトしていくであろうとまとめた.
 藤本浩平氏(ワシントン大,東京都・藤本歯科医院)は「インプラント埋入におけるデジタル技術の応用」をテーマに,Image Guided Surgeryにおける治療計画や臨床応用について解説.シミュレーションや患者説明など多くの利点をもつGuided Surgerだが,従来型(アナログステント等)の手法を把握したうえで臨床応用することが重要であること等を訴えた.
 大谷恭史氏(ワシントン大,大阪府・DENTAL OFFICE OTANI)は「Digital Dentistry の完成形を考える」と題し登壇,留学時代に取り組んだ「自動歯牙形成ロボット」の開発経験を元に,臨床家の立場から,今後歯科界における人工知能(AI)やRoboticsの応用・展望について紹介した.医科領域で臨床応用されつつあるAIは,患者のバックグラウンド聴取(問診)やプランニング(診断)への活用が歯科界でも期待されるものの,最終的には人的介入が必要となることなど,メリット・デメリットを含め考察がなされた.
 賀久浩生氏(ボストン大,東京都・スーパースマイル国際矯正歯科)は,「Work Shift in Orthodontic Practice -デジタルツールが変えた矯正歯科医院での働き方の変化」と題し,口腔内スキャナーを応用したアライナー矯正の実際や,オフィス運営における患者管理システム,ミレニアルズ世代(1980~90代生まれの世代)を意識したマーケティングなど,デジタルツールを駆使した矯正歯科クリニックの取り組み例を紹介した.
午前の部の演者.左から,賀久氏,大谷氏,藤本氏,岡村氏
 午後の部のテーマは『“長期経過から何を学び,治療技術の未来に何を期待するか -ベテランと若手,その視点-”』.
 まず若手演者として,山口修二氏(デュッセルドルフ大,埼玉県・ドイチェ歯科・矯正歯科)が「Maxillary Molar Distalization - その未来への可能性を探る」をテーマに登壇.II級不正咬合におけるアンカースクリューを応用した上顎大臼歯の遠心移動ケースを供覧し,有効性を解説した.
 続いて,加治初彦氏(ウェストバージニア大,東京都・加治矯正歯科クリニック)は「歯周病既往歯の矯正治療を考える -長期症例を通して」をテーマに,PTM(病的歯牙移動)における,全顎矯正(COT)とは異なったLOT(限局矯正)の治療目的や臨床応用の幅について解説した.重度歯周病などの切実なケースは多数歯LOTの対象となることや,超高齢社会において,ますます矯正医とGPとの連携が求められていること等を紹介した.
 林 千絵氏(ハーバード大,東京都・協立歯科 クリニーク デュボワ)は「Interdisciplinary Periodontal Therapy」と題し,歯周病医としての日常診療の具体的内容や,自身の診療室の患者層におけるbreakdownを未然に防ぐための考察を紹介し,定期的メインテナンスと歯科衛生士との連携が不可欠であるとまとめた.
 弘岡秀明氏(イエテボリ大,東京都・ 弘岡歯科医院)は「“Scandinavian Approach in Periodontics” ~Past and future~」をテーマに登壇.プラークコントロールを中心とした非外科処置,正確な外科処置,歯周補綴,GTR法やエムドゲインを用いた歯周組織再生療法等,歯周治療におけるスカンジナビアンアプローチのパラダイムシフトについて,文献考察や症例を元に解説した.
 多保 学氏(ロマリンダ大,埼玉県・たぼ歯科医院)は「一症例を通して長期予後を考える」と題し,Longevityを考慮したインプラント補綴の活用について,臨床例を元に,インプラント周囲炎のリスクファクターを再考するとともに,長期的な維持安定について考察した.
 最終演者で元・本会会長の村上 斎氏(ニューヨーク大,愛知県・ソフィアインプラントセンター)は「インプラント患者の長期的管理 〜その現実的対応と未来への提案」をテーマに登壇.インプラント治療を長期的成功に導くための要件として,インプラント埋入における技術的要素と患者面の要素があり,これらはAIだけでは決定できないこと等を解説した.
午後の部の演者.左から,村上氏,多保氏,弘岡氏,林氏,加治氏,山口氏
 午前・午後の各部の最後には質疑応答の時間が設けられ,演者と参加者との間で活発な議論がなされた.
 次回は,2020年1月に開催される予定である.

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2019年5月>
2829301234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930311
2345678
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号