2018年11月25日(日),株式会社ナカニシ本社(栃木県鹿沼市)にて「誰もが知っておかなければならないインプラント周囲病変の真実」と題した標記シンポジウムが,全国各地から200名あまりの歯科医師・歯科衛生士を集めて開催された.
同シンポジウムには,インプラント周囲炎についての臨床研究で世界的に著明なStefan Renvert氏(スウェーデン・クリスチャンスタード大学教授)を招聘.山本松男氏(昭和大学歯学部教授)をモデレーターに,弘岡秀明氏(東京都千代田区開業),和泉雄一氏(東京医科歯科大学名誉教授)らが登壇し,研究・臨床の両面から活発な議論を交わした.
冒頭に登壇した弘岡氏は,2017年に米国歯周病学会と欧州歯周病学会の合同ワークショップで提唱されたインプラント周囲病変の最新の定義に言及.インプラント周囲炎にまで進行した病変に対しては確定した治療法がない現状を鑑み,上部構造装着時をベースラインとし,定期的な検査によって病変の早期発見に努めることの重要性を強調した.
続く,Renvert氏はインプラント周囲病変に対する各種治療の成功率について,臨床研究の結果をもとに解説.歯周炎の既往,喫煙,全身疾患,補綴設計等のインプラント治療のリスクファクターを示すとともに,インプラント埋入前の歯周治療や清掃性の高い補綴設計,禁煙支援等,リスクを軽減するための術者側の取り組みを提案した.
また,和泉氏は,インプラント周囲病変において検出される細菌叢が歯周炎とは異なる生物多様性を有することなどを,最新の細菌学的な研究を元に紹介した.最後にはRenvert氏が再び登壇し,インプラント周囲病変の治療例やSPTの手法などを臨床例を交えながら供覧した.
質疑応答においては,インプラント周囲病変の検査やSPTの方法,超高齢社会におけるインプラント応用のあり方等について幅広いディスカッションが交わされ,会場は熱気に包まれた.
※本シンポジウムの内容は,Renvert氏・弘岡氏の論文(以下)でも紹介しておりますので,併せてご覧ください.
・歯界展望 2018年9月号~11月号「特別企画 スウェーデンに学ぶ インプラント周囲病変のマネジメント
・デンタルハイジーン 2018年10月号・11月号「スウェーデンに学ぶ! インプラント周囲病変の最新情報」