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第149回日本歯科保存学会2018年度秋季学術大会 開催される
 11月1日(木),2日(金)の2日間,みやこめっせ(京都市)にて標記大会が「患者の未来を守る保存治療」をテーマに1400名以上の参加者を集めて開催された(大会長:三谷章雄氏・愛院大).
 特別講演Ⅰ「バイオフィルムの細菌学:慢性歯周炎では? 侵襲性歯周炎では?」では,天野敦雄氏(阪大)が欧米の歯周病学会によるワークショップによる新分類に「侵襲性歯周炎」などがなくなったことや,現時点での歯周病に関する理解から,歯周病原細菌の病原性による分類やバイオフィルム内の共生関係など,細菌学的な視点から詳細な考察を行った.
 特別講演Ⅱ「ビッグデータ解析からみえる健康寿命延伸に向けた課題」では,嶋﨑義浩氏(愛院大)がレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)をもとにした日歯総研の研究を紹介,三重県や岐阜県,8020推進財団などのビッグデータをもとにした氏のさまざまな研究成果を解説し,歯を失わない社会をつくるためにデータを活用したエビデンス蓄積の必要性を述べた.
 教育講演「OHATを用いた口腔管理と多職種連携」では,松尾浩一郎氏(藤田保健医療大)が要介護者の口腔アセスメントのためのOral Health Assesment Tool(OHAT)を紹介.氏によって日本語版が作成され,これを活用することで施設入居者や入院患者の口腔状態を介護士や看護師が診断でき,治療が必要かどうか判断できることで,医療・介護の現場における多職種連携のツールとして役立つことを解説した.
 シンポジウムⅡ「リバスクラリゼーション」では,最初に下野正基氏(東歯大)が「リバスクラリゼーションの課題と可能性」と題し,歯根未完成歯の失活歯に対し,硬組織を形成させる手法に関する病理組織的な考察を展開.次にリバスクラリゼーションを最初に発表した岩谷眞一氏(宮城県開業)が「臨床からみたリバスクラリゼーションの現状と課題」と題し,発表の経緯から氏による長期経過症例を供覧,AAEの推奨するプロトコルに関して再生歯内療法からの問題点などの考察を行った.
 シンポジウムⅢ(学会主導型プログラム)「~超高齢社会における新たな課題~根面齲蝕治療を考える」では,保存3分野それぞれの立場から高齢者の根面齲蝕を考察.最初に福島正義氏(福島県)が「保存修復学の視点から~う蝕治療GLを中心に~」と題し,歯冠部齲蝕から根面齲蝕が中心となっている状況を考察し,修復処置よりも予防や慢性化をめざす治療を行うべきであり,フッ化ジアンミン銀を使用したSDF法を紹介した.次に古澤成博氏(東歯大)が「根面う蝕から考える高齢者の歯内療法」と題し,加齢変化による高齢者に対する歯内療法の難しさを解説.マイクロスコープ下が望ましく,隔壁の作製は必須であるが,そのような処置を行うことが高齢者には不利であり,病変の状況を把握して治療を行う大切さを述べた.最後に佐藤秀一氏(日大)が「歯周病の見地から根面齲蝕を考える-歯周病と根面齲蝕の対応-」と題し,歯周治療による歯肉退縮のリスクの解説から,それに対する非外科・外科での対応を紹介.プラークコントロールやPMTCによる予防やセルフケア,食事指導の重要性を述べる一方で,オーバーインスツルメンテーションへの注意も喚起した.

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